10月31日、大阪地裁から破産手続開始決定を受けた(株)人間と産業開発研究所(通称:H&M研究所、大阪市淀川区、倉原忠夫社長)。同社は当初、経営コンサルタント業務を手がけていたのだが、その後に新規公開企業への株式投資などの投資事業へと主業務を転換していた。その同社が扱っていた未公開株の銘柄の1つに、日本トレイド(株)があった。そして今回、H&M研究所が破綻したことを契機に、「日本トレイド社も加害者側では」との噂も出てきている。突如"渦中の人"となった日本トレイドの代表取締役である山﨑和則氏に、真相をうかがった。
<以前は問題なかった>
―もともと、今回の経緯はどのようなものだったのでしょうか。
山﨑 今から10年くらい前は、まだ村上ファンドの問題もありませんでしたし、ホリエモン事件も起こっていませんでした。また、当時は現在のような金融業法の規制がありませんでしたので、日本中で溢れるほど「ファンド」と称するものができていました。「匿名投資組合」というものが日本中にゴロゴロあった時期です。そのなかでも草分け的な存在だったのが倉原忠夫氏であり、同氏が立ち上げた(株)人間と産業開発研究所(以下、H&M研究所)といえば、当時、国内で一番有名なファンドだと言ってもいいくらいでした。
私も当時、出資してもらうにしても「誰でも」というわけにはいきませんので、調べさせてもらいました。そのときは、本当に立派な企業だったと思います。それが何年か経ち、世間では村上ファンドの問題やホリエモン事件などが起こり、そこからH&M研究所も問題になっていったわけです。私としては、"転ばぬ先の杖"と言いますか、当初から多少の懸念はしていました。
要は、ウチの株主としては、倉原忠夫氏個人とH&M研究所の2社でしかありませんし、こちらについてはきちんと信託業務をしています。ここが、下の人たちに「預り証」というものを発行していましたが、それについては関知する必要性がありませんでした。
今のファンドと違って、当時のファンドは「匿名投資組合」とでもいうようなものでした。先ほどもお話しましたように、これは以前であればまったく問題がなかったものです。ですから、H&M研究所は民事裁判では負けていますが、おそらく刑事裁判では罪を問われることはないでしょう。
(つづく)
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