27日、投開票が行なわれた大阪市長選挙で、前大阪府知事で地域政党・大阪維新の会代表の橋下徹氏(42)が当選。同じく投開票が行なわれた大阪府知事選挙でも、大阪維新の会幹事長で前大阪府議の松井一郎氏(47)が当選。『大阪都構想』を掲げた大阪維新の会が大阪の民意を得たかたちとなった。
大阪市長選の投票率は60.92%(前回43.61%)で、橋下氏は75万813票を獲得。52万2,641票を得た現職・平松邦夫氏(63)を大阪市24区すべての得票数で上回り完勝。大阪府知事選は投票率52.88%(前回48.95%)。松井氏が200万6,195票を獲得し、前池田市長・倉田薫氏(63)の獲得票120万1,034票に約80万票の大差を付けた。投票率40%を超えなければ勝てないと、有権者へ投票を強く求めていた大阪維新の会。橋下氏は当確後の記者会見で市長選の約60%の投票率を受けて「非常にありがたい」と、感慨深げに語った。
投開票の前日、選挙運動の最終日となる26日、橋下氏と松井氏の共同街頭演説には、数千人規模の聴衆が集まった。「大阪から国を変える。大阪の皆さんが国を変える」と、熱く訴えた橋下氏。松井氏とともに、大阪府、大阪市の二元行政・二重行政の弊害を訴え続けた。
「明治の頃から続いている仕組みを平成の世に合うかたちにする」と橋下氏。東京都に一極集中している状況から、大阪を再興して、もうひとつの日本を引っ張る「エンジン」へとすることを目指す大阪維新の会には、石原慎太郎東京都知事も応援に駆け付けた。松井氏は「我々はバッジを捨てる覚悟がある」と、都構想実現の過程で避けられない、大阪市議会、大阪府議会の解体というプロセスへの決意を維新の会を代表して強調した。
今年(2011年)4月の統一地方選挙で大阪維新の会は、大阪府議会で過半数、大阪市議会、堺市議会でそれぞれ第1党となる議席を獲得。「維新の会は大阪府民の皆さんによって生まれ、育てられた」という橋下氏は、自民党、民主党など既存政党と正面から争える力を民意によって与えられたと強調。今回の選挙は、その延長線上にあり、「大阪から国を変える」という「維新の志」が、大阪府民に浸透した結果が出たと言える。
他の陣営では、橋下氏のネガティブキャンペーンばかりが目立った。「大風呂敷」「イカサマ師」「独裁者」といったフレーズが連発され、橋下氏の発言を切り取り、「ファシズム」としたビラまでまかれた。さらに、既存政党が相乗りで特定の候補者を支援。与野党の国会議員が応援演説をする姿は、既得権益を維持するために地方の自立に抗う勢力の本音のようにも感じられた。
27日夜、選挙中何度も橋下・松井陣営の応援に訪れていたという元経済企画庁長官の堺屋太一氏は、当選確定後のあいさつで、大阪維新の会の挑戦について「全守旧派対全改革派、全タックス・イーター(税金を食い物にする既得権者)対全タックス・ペイヤー(納税者)の戦いであると考えてきた」と語った。また、今後の展望については「霞ヶ関一家(中央官僚)との戦い。ますます激しい戦いになる」として、大阪府民へさらなる支援を呼びかけた。大阪府のみならず、全国的にも今後の展開への注目を集めている大阪維新の会。その志の真価が問われる戦いの火ぶたが、ついに切られた。
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