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特別取材

H&M研究所破綻の裏で噴出した噂の真相を語る(後)
特別取材
2011年11月29日 07:00
日本トレイド(株) 代表取締役 山﨑 和則 氏

<株主の1社にすぎない>

 ―H&M研究所は、預り証を発行するかたちで資金を集めていたようですが。

 山﨑 それは何もおかしなことではありません。ウチの場合でも、株券自体がありませんからね。信託業務でやっていますから、今どき実際の株券があるような会社はないでしょう。未発行ですから。ウチが未発行にしてから随分経ちますが、きちんと信託業務をしているわけです。その下の人たちは、預り証でやっているのではないでしょうか。

 ―以前、出資者に無断で株券を譲渡されて倒産した会社の話を聞きました。その結果、株主が300人くらいに散らばってしまい、大変なことになったという事例もあります。こうした未公開株詐欺事件の事例と今回では少し話が違いますね。

1129山﨑和則氏.jpg 山﨑 違います。名前こそ出していませんが、福岡の有名企業もウチの株主にはいます。今回の件に関しては、単にそのなかの1社が倒産したというだけのことです。ただし、私が懸念しているのは、H&M研究所が倒産したからといって、そこにある預り証を直接ウチに持ってこられても困る、ということですね。

 ただ、今回は、破産したことが逆に良かったとも思っています。破産管財人が付きますからね。
 うちの株価はどの株主さんも同一金額です。彼らがそれぞれいくらで売っているのか、基本的には関知していません。ただ、こういった基本的な仕組みを知らない人が、ウチを変な目で見ています。

<自己責任の行方>

 ―そうすると、H&M研究所はファンドとして資金が回らなくなったというのと、オーバートークをしていた部分を突かれたということですね。

 山﨑 そうですね。なかでも一番大きかったのが、秋頃に大阪で民事で負けたことでしょう。それがきっかけとなって、雪崩のように崩れていったのではないでしょうか。

 ―今回の件も、申し立ては第三者ですね。

 山﨑 ただ1つだけ、倉原氏の名誉のために言っておきたいことがあります。倉原氏個人とH&M研究所、この株数が末端に出たときに、株数が違うということはまずありません。数はきちんと合っています。どういうことかと言いますと、倉原氏が架空に自分の所有株以上の株式を売却しているということはないと断言できます。

 ―H&M研究所に、日本トレイドに関する部分で違法性を問うのは、難しいということですか?

 山﨑 それについては、難しいと思いますよ。
 少し話は変わりますが、末端で株を買う人たちは、みんな儲かろうとしてやっています。ですから、自己責任があって当然で、ファンドだけを悪者にするのはいかがなものかと思います。リスクとリターンの度合いが違うだけで、投資ということにはすべて変わりないことです。投資というのは、うまくいけば儲けられますし、うまくいかなければ損をしてしまう―当たり前の話ですよね。

 欲を出して、失敗したら文句を言う―こんなに身勝手なことはありません。日本という国民性の違いもありますよね。海外のファンドなどでは、このような文句を言う人はいないでしょう。すべて"自己責任"ということがわかっていますから。

【文・構成:坂田 憲治】

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