5日、アイランドシティ(人工島)の将来像を議論してきた第三者委員会「アイランドシティ・未来フォーラム」(東京大学大学院教授・出口敦委員長)は、定期借地方式を盛り込んだ提言書を高島宗一郎福岡市長に提出。翌6日の定例会見で高島市長は、定期借地方式について前向きな姿勢を見せた。
同市長は会見で、「(アイランドシティに関しては)市でもプロジェクトチームを立ち上げているので、第三者委員会の提言書とすりあわせながら進めていきたい」とし、今後の予定として、「まずは12月議会のなかで基本的な考え方を示しながら、しっかりと議会と対話する。よく考えて予算編成し、そのときに具体的なことを申し上げたい」と、説明した。
定期借地方式に関しては、「売れるまで土地を遊ばせておくのはもったいないし、逆にこれまでの段階で、企業ニーズなどを汲んで、もっと積極的に進めるべきだった」と述べ、そのうえで議会と対話していくことを強調した。「原則分譲」から「定期借地」に方針を切り替えたことで、名乗りをあげる企業が現れるという算段のようだが、人工島の現状を考えれば、疑問符がつく。また、県外や国外から人を呼び込むような方策を採らねば、高島市長が掲げる「交流人口の増加」にはつながらないのではないだろうか。
かつて、この人工島には、米パラマウント社のムービースタジオ・パーク(映画のテーマパークと、芸術とエンターテイメントビジネスの包括的教育を行なう教育機関「UCLAエクステンション」)を誘致する動きがあったが、現在では凍結状態にある。
高島市長はかつて、NET‐IBのインタビューで、「鹿児島であれば「桜島と温泉!」、熊本であれば「歴史と熊本城!」というわけになるのですが、「福岡は?」となると、いっぱいありすぎて逆にわからない」と発言していた。おそらく、現在もその思いは同じだろう。ムービースタジオ・パークに限定した話ではないが、福岡の魅力を体現できる、ランドマーク的な存在が必要に思える。
定期借地方式でお茶を濁すよりも、戦後最年少の福岡市長らしく、若さと決断力を活かして、長く続く人工島問題にピリオドを打って欲しいと願うばかりだ。
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