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加速する「緑の成長戦略」追い風を受ける北九州市政(後)~北九州市長・北橋健治氏
発信!北九州
2012年2月24日 16:00

 昨年(2011年)2月に2期目に突入した北九州市・北橋市政。福岡県におけるもう1つの政令指定都市の首長として、メディアでその姿を見ない日はないほどに活発な動きを見せている北橋健治市長に、北九州の今と未来、市政の展望を聞いた。

<先頭を走る「海外水ビジネス」>

 ――環境ビジネスの分野は、今や北九州市の目玉といって差し支えないと思います。先ほどのお話にも出ましたように、国から「環境未来都市」にも選定されています。

 北橋 選定を機に弾みがつくと思います。本市の環境ビジネスに関する展望としては、いくつかの柱があります。まずは今春に本格実証を開始する「北九州スマートコミュニティ創造事業」ですが、スマートグリッドなどのエネルギー関連の実証事業にとどまらず、高齢化社会への対応や新しい交通システムの検討にも取り組み、スマートグリッド関連の新しい製品・システムの開発、これらを活用した新ビジネスの創出まで見据えています。その成果を国内はもとより、アジアを中心に海外へと展開することで、市内のみならず日本国内の産業の発展に貢献したいと考えています。また、震災復興のための活用も検討しており、すでに岩手県釜石市とは具体的に協議を進めています。

 ――同じく「アジア低炭素化センター」のお話も出ました。

 北橋 これは市内の環境技術を輸出し、アジア地域での大幅なCO2削減に貢献する拠点として、2010年6月に開設したものです。これまでにビジネス成約や国などの調査事業への採択といった成果を挙げてきました。今後は、これまでの活動のなかから芽が出始めたインドネシア、インド、中国の3つの地域のプロジェクトを中心に、単に技術のみを輸出するのではなく、新興国の都市の環境課題を解決し、環境に配慮した新しい都市づくりに貢献できる「都市輸出」の推進を目指しています。

 ――とりわけ「海外水ビジネス」は、各自治体が競って進出している分野です。ものづくりの街だけに、水プラントの実証研究を積極的に行なっているそうですね。

 北橋 本市は、長年にわたり、安定的かつ効率的に上下水道事業を運営してきましたが、その過程で、水処理に関する様々な技術やノウハウを蓄積し、配水ブロック管理による漏水率の改善や下水処理場における運転管理の工夫による処理水質の高度化などを実現しています。また、昨年4月から本格稼動した「ウォータープラザ北九州」では、日本が誇る世界最先端の膜処理技術について、官民一体で実証研究に取り組んでいます。これらを基礎に「水プラント」事業を早期に海外で事業化することを目指しています。

 ――昨年末、北橋市長がカンボジアを訪問されたニュースは、この分野で北九州市がトップを走っていることを全国に印象付けました。

0223_sityou.jpg 北橋 昨年12月、私が同国を訪問したのは、カンボジア国の所管の大臣と、同国全土の主要9都市水道マスタープランに係るコンサルティングを本市が行なう覚書を締結するためです。これは、昨年3月に本市が受注したシェムリアップ市における浄水場建設基本計画策定の補完業務を成功させて同国政府から高い評価を得たことを含め、長年の技術協力に基づく強力な信頼関係が礎となったものです。加えて、ベトナム国ハイフォン市においては、本市が採用している配水ブロックの導入が決定しており、その技術的コンサルティングを本市が実施することも決まっています。

 これらの業務を着実に遂行することで、対象国の水道の発展に寄与するとともに、その後の整備に係るビジネス案件の獲得につなげていければと考えています。海外水ビジネスを環境未来都市の柱に据え、官民連携の「北九州市海外水ビジネス推進協議会」を通じて本市と民間企業が持つ高いノウハウと技術力を結集しながら、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

<安全・安心なまちづくりに向けて>

 ――住みやすいまちづくりのためには、治安の向上も欠かせません。

 北橋 犯罪のない安全で安心なまちづくりに向けて、「市民の防犯意識の醸成」と「地域の自主防犯活動の促進」を基本に、警察との緊密な連携のもと、さまざまな地域防犯対策に取り組んでいます。現在、すべての小学校区において、自治会やまちづくり協議会などが中心となった自主防犯組織「生活安全パトロール隊」が結成され、夜間のパトロールや子どもの見守り活動などが積極的に行なわれています。本市は、こうした地域の自主的な活動に対して、各区役所に配置している安全・安心指導員(警察OB)を通じて指導や助言などを行なうほか、パトロール活動などに必要な物品などを支援しています。さらに、参加者(隊員)の資質向上のために、毎年、防犯リーダー養成講座なども実施しています。

 ――子どもの安全には、とくに気を配りたいものです。

 北橋 子どもたちを犯罪から守るための活動は活発です。NPO法人日本ガーディアン・エンジェルスとの協働で、市内の小中学校の児童生徒を対象に体験型防犯教室「安全セミナー」を開催しているほか、全国に先駆けて取り入れた「スクールヘルパー制度」の下で校内を巡回等されている保護者や地域の皆さんは、年間延べ9万人以上にのぼります。こうした取り組みの結果、市内の犯罪発生件数は年々減少しており、10年はピーク時の02年と比べて6割以上も減りました(※市内の刑法犯認知件数/02年:40,389件 ⇒ 10年:15,295件)。

 ――昨年は、発砲事件が続いたことでも全国に名を馳せてしまいました。

 北橋 暴力団対策としては、市民の皆さまが安全に、安心して暮らせる社会の確保と、社会経済活動の健全な発展を目的に制定した「北九州市暴力団排除条例」に基づき、公共工事をはじめとする市の事務・事業からの徹底した暴力団排除を推進しています。さらに、県警察との緊密な連携のもと、警察・行政・市民(事業者)が一丸となって暴力団排除に取り組めるよう、企業や業界団体などを対象とした暴排研修を実施するほか、暴排条例で定めた「市民暴排の日(毎年8月18日)」には、市を挙げた暴力追放総決起大会を開催し、暴排気運の醸成に努めてまいりました。県警察に対しては、昨年相次いだ発砲事件などの早期検挙を強く要請するとともに、今後とも厳しい暴力団情勢に対応すべく、よりいっそう連携を強め、暴力追放施策を力強く推進していく考えです。

<新たな北九州市の挑戦>

 ――北九州市はインフラも整っていますし町並みもキレイです。住んでみるととても良い町なのですが、周囲が抱いているイメージは、正直あまり良いとは言えません。

 北橋 本市は昨年6月、OECD(経済協力開発機構)から「グリーン成長モデル都市」に選定されました。世界でパリ、シカゴ、ストックホルムと並んで、アジア初の都市として北九州市が選ばれたわけですが、モデル都市になると、本市のグリーン成長に関する政策、事業などについて、OECDの分析・評価が行なわれ、その成果はOECDの全加盟国に報告書として配布されることになります。全世界に本市の環境情報が発信されるわけですから、都市のイメージアップ戦略の大きなチャンスになると期待しています。また、昨年末には環境分野において国から「国際戦略総合特区」と「環境未来都市」に選定されましたが、環境分野で北九州市だけがダブル選定を受けることができました。これからは、これらの制度をいかに活用して「緑の成長戦略」を推進し、地域経済の活性化を図ることができるかという課題に取り組んでいかなければなりません。ですが、必ずや「本市にとどまらず、国内、さらにはアジアの成長モデルとなるのだ」という強い使命感と確信をもって、今年のスタートを切りたいと考えています。

 ――人口減少を嘆く声も聞かれますが、それでもいまだに多くの人口を抱え、技術力が高い企業も多くあります。観光資源も豊富にありますし、秘めたポテンシャルは相当なものです。

 北橋 本市はこれまで、門司港レトロやスペースワールドなどを中心とした観光キャンペーン、産業界と連携した産業観光や環境修学旅行の受け入れなど、本市の独自性を活かしたビジターズインダストリー(賑わいの創出)に取り組んできました。映画やテレビ番組などを誘致して撮影を支援する「フィルム・コミッション」などのシティプロモーションもその一環です。とくに今年秋には「(仮称)北九州市漫画ミュージアム」や「黒崎ひびしんホール」など、まちの賑わいの拠点が新たにオープンしますし、日本青年会議所(JC)の全国会員大会(10月11日~10月14日)、日本商工会議所女性会連合会の全国大会(10月5日)、さらには、今年最大規模のイベントとなるB-1グランプリin北九州(10月20日~10月21日。昨年の姫路大会では50万人が来場)など、大型イベントが目白押しとなっています。こうした機会を最大限に活用し、北九州市の新たな魅力を発信して観光客を誘致することで、まちの賑わいを創出していきます。

 私は今、逆風以上の強い追い風が本市に向かって吹いているのを感じています。今年は追い風を受けた大いなる飛躍の年として、来年の市制50周年につなげていきます。

(了)
【田口 芳州】

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