<朝日新聞社5指の名物記者>
2月27日から、新聞紙上で大きく取り上げられている福島原発事故独立検証委員会のレポートが注目されている。『2011年3月11日から15日にかけての非常事態における日本国家組織の根本的問題点』を分析・指摘しているのである。これは政府から調査を委託された同検証委が、関係者300人に取材をして取りまとめたものである。
結論は、「政府・原発担当役所・当事者の東電には原発事故に対する対応策は無能のひと言に尽きる。緊急マニュアルはまるでゼロ状態。最悪の事態(原発全機の核爆発)に至らなかったのはたまたま運が良かっただけ」と、切り捨てている。要するに平和ボケをしていたのだ。
東京電力福島第一原発の現場は、リーダーである吉田所長を筆頭に、死ぬ覚悟で海水を注水して防衛にあたっていた。
一方、組織の中枢では、(1)東電経営陣は無責任にも現場から逃避しようとした(この例にも見られるように、東電がまるで他人事であるかのように終始していたことを怒りに燃えて糾弾している)。(2)本来、原発事故対策を担うべき原子力保安院の官僚たちがあまりにも無能すぎた。判断・決断できずにただオロオロするばかりであった。(3)政府中枢・首相官邸には的確な情報が伝わらず、判断は尚早すぎるものばかりであった。理系・菅直人首相は、多少、危機管理の理解はあったというぐらいだ。どいつもこいつも平時には偉そうにしているが、3.11から5日間の過酷な原発事故に直面し、能がないことを露呈してしまった。
ところでこの福島原発事故独立検証委員会のレポートを読んでいると、同様の指摘をしていた新作を思い出した。1月27日に発刊された『メルトダウン~ドキュメント福島第一事故』(著者:大鹿靖明氏、発行元:講談社)である。大鹿靖明氏は朝日新聞社の現役記者で、筆者は「朝日の五指に入る記者」と評価している。
<我々は安易な妥協を許さない>
講談社の書籍案内には「次々に明らかになる衝撃の新事実!! 読み始めたら止まらない調査報道ノンフィクションの傑作」と、紹介されている。また、「日本を崩壊寸前に追い込んだ福島第一原発事故。首都圏壊滅、3,000万人避難の未曽有の危機に際して、官邸、東京電力、経済産業省、金融界では何が起きていたのか?ライブドア事件を題材にした『ヒルズ黙示録』で鮮烈デビューした著者が、菅直人、勝俣東電会長、経済省官僚など延べ100人以上の関係者を取材してわかった驚愕の新事実の数々」と、続いている。
国民に死の灰を浴びさせ国滅びても、がん細胞『経済産業省』は生き延びられると思っているのか!!(人が死ねばがん細胞も死ぬ運命にあるのだが・・・)。取り敢えず、国民一人ひとりが、この『メルトダウン』を読み、真剣に考えていただきたいと思う。いい加減な妥協をすれば貴方と貴方の家族の運命は悲惨なものになりますよ!!
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