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福岡市の生活保護不正受給・『貧困ビジネス』の背景(前)
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2012年3月14日 16:02

<受給者は家出少女? 「生活保護難民」の噂も>
 生活保護予算が増え続けるなか、生活貧窮者をダシに金をせしめる『貧困ビジネス』や不正受給が社会問題となっている。2011年12月の速報値で9万1,399世帯12万9,814人(保護費総額203億1,852万3,000円)の生活保護受給者を抱える福岡県では不正受給が09年度から10年度にかけて急増。09年度が1,946件7億3,366万円であったのに対し、10年度では2,612件10億2,729万円と、約3億円も増えている。今回、取材を通して、その背景に見えてきたのは、『貧困層の都市部への流入』と自治体の実情を反映していない『国の全国一律的指導』であった。

 11年12月の速報値で、福岡市は前年同期比1,860世帯増の2万9,930世帯4万1,111人(保護費総額:約69億円)。また、10年度の不正受給件数で、北九州市と合わせて約1,300件と半分を占める。増え続ける生活保護受給者に対し福岡市では、ひとりあたりの担当が100世帯超とケースワーカーの数が圧倒的に不足。調査・指導といった行政の対応がとれないことから、また、不正受給の増加につながるという悪循環に陥った。

0314_hakataku.jpg 福岡市では、09年3月、厚生労働省が各自治体に通知した「職や住まいを失った方々への支援の徹底について」に従い、ホームレスへの支援を強化し、市7区全体の窓口を博多区役所保護3課に一本化した。そして、「1日で100件、多いときで300件ぐらいはあったのではないだろうか」(市OB)というものすごい数の申請に首が回らなくなったという。本来なら受理する際に、支給の是非を判断するための調査を行なうが、それがおろそかになった。そして、そこに『貧困ビジネス』につけ入れられるスキが生じたのである。

 "紙1枚で金がもらえる"状況が生まれた。ホームレスに「いいバイトがある」などと声をかけ博多区役所へ誘導、支給額の半分をピンはねする『自称NPO』が現われた。また、3LDKの部屋に5名くらいのホームレスを住まわせ、支給額からひとり約4万円の場代と世話代を回収するといった『不動産系』のやり口も流行り始めた。

 さらに、調査を博多区役所が1度行なってから、その所在地の担当ケースワーカーへ引き継いでいたため、ぼう大な数の案件について厳密な調査が行なわれていたかどうかも怪しい。申請された書類のなかには、「前にいたところが名古屋や宮崎などと、経歴を見る限り、なぜ今、福岡にいるのかが理解できないものもあった」(市OB)という。ついには、「博多区に『生活保護難民』が他県から流入している」というウワサまで流れ始めた。

 調査の結果、受給者が「親が捜索願を出している家出人(未成年)であった」とか、「本人名義の定期預金が300万円見つかった」というケースもあったという。不正受給と見なされた場合は返金してもらうことになるのだが、そこでトラブルに発展することも珍しくなく、ケースワーカーにさらなる負担として圧しかかる。

(つづく)
【山下 康太】

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