農林水産省は、日本農業の体質強化と東日本大震災からの復興などに対応した新たな政策展開に資するための新たな「土地改良長期計画(案)」について、18日まで意見募集している。2012年度まで実施される予定であった5年1期の現行計画を1年前倒しで策定するため。政府は、次期計画について「3月末までに閣議決定したい」としている。
今回、公表された計画案は、基本理念に「食を支える水と土の再生・創造」を掲げ、基幹水利施設について「機能診断済み」の割合を10年度時点の約4割から約7割(実施施設、水路約1・3万キロメートル、機場等約1,400カ所)に高めるとしている。関連施設の防災対策のほか、約1,000地域で小水力発電など再生可能エネルギー導入に向けた計画を作成。
また、農地の大区画化などによる農業の体質強化の一環で、全国各地で行なわれている基盤整備実施地区で、地域の中心となる経営体への農地集積率を約8割以上に高め、約20万ヘクタールを大区画として整備するとしている。このほか畑地約1.6万ヘクタールの用排水施設、同約2.1万ヘクタールの区画整理や土層・土壌改良、整備済み水田約10万ヘクタールの暗渠排水整備に取り組むことが盛り込まれている。
我が国のカロリーベースで見た食料自給率は、1965年の73%から大きく低下し、近年40%前後で推移している。食料輸入国である我が国は、世界の食料需給のバランスに配慮し、戦争などで食料輸入が困難になる不測の事態に備え、食料安全保障の観点から、自国において一定の生産力を将来にわたって確保しておくことが求められる。他方、国際化が進み、自由貿易競争が進むなかで、これまでの家族経営型小規模農業では、今後の見通しが厳しくなるばかり。農業の低コスト化などを可能とする土地改良事業は、今後、農業を成長産業として発展させるために、製造業における設備投資として捉えていく必要がある。
▼関連リンク
・「土地改良長期計画(案)」についての意見・情報の募集(農水省HP)
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