福岡県が市町村に対して26日に行なう、環境省の職員による東日本大震災の被災地のがれきに関する説明会が、県が指定する"記者クラブの人間"しか入れないという事実上の「密室」で行なわれることがわかった。情報公開が厳しく問われるなか、多くの県民が関わるがれき問題について非公開とする同県の姿勢に疑念が生じた。
同説明会は、福岡県議会で、がれきの受け入れを市町村へ要請するよう県に求める決議が23日にされたことを受けてのもの。NET-IBの取材に対し、担当課である県環境部廃棄物対策課の山本規史計画指導係長は「説明会がもともと非公開で行なわれていた会であること」を最初に理由としてあげた。そのうえで「がれき受け入れの反対派から妨害の予告をほのめかす電話もあった」と、一般公開を避けた理由を説明した。
しかし一方で、県政記者クラブであるか否かを判断基準としたことについては、根拠となる文書を要求しても提示されず、山本係長は直属の上司である古賀直人廃棄物対策課長の指示でやったと証言。古賀課長もこの事実を認めているとされ、行政の根幹に関わる情報公開について、一介の管理職職員が独断で制限をかけていたという実態が明るみになった。
問題の説明会では、県政記者クラブに加入していない雑誌やフリーランスのライターなどがすべて入場禁止となる。山本係長は「受け入れ反対側による妨害を防ぐこと」をその理由にあげる。しかし、記者クラブに反対側の人間がいないことを確認してはおらず、確たる根拠もなく記者クラブであるか否かを判断基準にしているというお粗末な実態がうかがえた。
そもそも記者クラブとは、法人としての登記がされていない任意の組織であり、言うまでもなく、国民の知る権利を代表して行なう権限を持つものではない。近年では、政府の記者会見をはじめ、記者クラブ以外にも場を開放する動きが進んでいる。
一方、取材対象となる官公庁と取材する側の記者クラブの間に蜜月関係がある自治体の実例を調査報道サイト「HUNTER」が報じた。今回、浮き彫りになった"記者クラブの優遇が当たり前という現場職員の実態は、それが体質として染み付いていることの証左でもある。
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