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コダマの核心

博多と大阪、明暗を分けた「JR駅直結デパートの1人勝ち」の都市伝説(前)
コダマの核心
2012年4月 6日 17:00

 JR駅直結デパートの1人勝ち――。百貨店業界における都市伝説である。この伝説は生きているのか。その壮大な実験場になったのが、JR博多駅の博多阪急(福岡市)とJR大阪駅のJR大阪三越伊勢丹(大阪市)。初年度は明暗を分けた。明は博多阪急で、暗は三越伊勢丹。開業2年目の正念場を迎える。

<博多阪急の圧勝>
hakatacity.jpg JR九州子会社の博多ターミナルビルは3月1日、昨年3月3日に開業した駅ビル「JR博多シテイ」の1年間の来店客数が5420万人、売上高が750億円だったと発表した。
 内訳は、核テナントの百貨店、博多阪急が累計来店者3100万人で、目標比55%のプラス。売上高は約380億円で、年間目標を3%上回った。このうち洋菓子などが好調だったデパ地下「うまちか」の売上高は全体の27%にあたる102億円に上った。

 一方、東急ハンズなど専門店が入るアミュプラザ博多の累計売上高は356億円で目標を19%上回った。特にレストラン街「くうてん」の集客力が高く、計画比1.6倍の78億円を売り上げた。9、10階のレストラン街、デパ地下の食品売り場が好調を牽引した形だ。
 これに対して、天神の百貨店や専門店では、前年に比べ5~20%前後の減収が目立った。岩田屋、福岡三越、博多大丸の3店は6.6%減だ。

<流通地図を塗り替えたJRの巨大駅ビル>
 博多阪急が初年度に1人勝ちしたのは、「JR駅直結デパートは強い」という過去の例から十分予想されていたことだ。流通地図を塗り替えたのは、JR新駅ビルに進出してきたデパート。広域集客が可能なJR駅直結のデパートの強みをまざまざと見せつけた。

 その嚆矢が、97年にJR京都駅ビルに開業したJR京都伊勢丹。古都京都の景観問題を引き起こしたあの京都駅ビルである。開業以来、絶好調を持続。年間売上高620億円(10年度)は、京都が発祥の京都大丸の売上高690億円(同)とほぼ並ぶまでに成長した。地域一番店の高島屋京都店の1,041億円(同)を追う。

 00年開業のJR名古屋駅ビルに進出したJR名古屋タカシマヤは毎年2ケタ成長を続け、3年目に名鉄百貨店、4年目に三越名古屋栄店を抜いた。瞬間風速ながら、11年3月の月間売上高が、それまで首位を独走してきた、日本で最も歴史が古い老舗百貨店、松坂屋名古屋店(旧・松坂屋本店)を抜き、名古屋地区の首位に躍り出た。

 劇的な変化をもたらしたのが北海道の札幌市。03年にJR札幌駅に進出した大丸札幌店は、札幌の流通地図を塗り替え、札幌ナンバーワンの百貨店になった。札幌の歴史を刻み込んだ老舗百貨店、丸井今井は倒産、西武札幌店は閉店に追い込まれた。

 JR駅直結デパートの1人勝ちの結果、それまでの中心街が衰退して空洞化してしまうという深刻な問題を引き起こした。地域の売上高は、京都では京都駅ビルが2割増、中心街の四条河原町は2割減、名古屋ではJRセントラルタワーズが2割増、他地区は横這いもしくは減。札幌ではJRタワーが3割増で、かつての中心街の大通地区は2割減。JR博多シテイの開業によって、京都、名古屋、札幌と同じ現象が起きるとみられていた。

(つづく)
【児玉 直】

| (後) ≫


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