<前年比売上高92.3%>
「昨年(2011年)の飲食業の売上は、どれくらい落ち込んでいると思いますか?」という質問に、大半の人は「おそらく2割から3割ほど落ちた」と答えるだろう。事実、2011年3月11日に発生した東日本大震災にともなう自粛ムードで、飲食店は深刻な消費不況に見舞われた。売上半減という話もざらであった。
しかし、1年間で見ると思った以上に震災の影響は少ない。社団法人日本フードサービス協会会員社による「外食産業市場動向調査」(2011年、年間結果)によると、外食産業の年間売上高は前年の98.8%という意外なデータがある。同協会によれば、震災直後は節電や自粛などにより大きく落ち込んだものの、年の後半には回復の兆しが見え、98.8%にとどまったとのこと。たしかに同協会の2011年3月単月のデータによると、前年同月比で89.7%と10%以上も落ち込みを見せているが、同年4月単月データでは前年同月比97.2%まで回復、年後半にかけてじわじわと回復している。
なかでも麺類の年間売上高が前年比109.1%と最も伸びが高い。これは不景気であるため、なるべく安いものを食べようという消費者心理の表れだろう。そして、最も落ち込んでいるのが『焼肉』である。年間売上高の前年比が92.3%、客数では91.7%と同調査において最も落ち込んでいる業種となっている。外食産業の花形と言える『焼肉』が今、低迷している――。
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