<カジノはどの自治体に!?>
カジノが開業するとなると、「一体どこに作るのか?」「運営する企業は?」「どのようなカジノになるのか?」さまざまな疑問が浮かぶが、具体的な全貌が見えるのは、合法化された後となる。
カジノ法案が通った後に、2年間かけて、実施法を練り上げる。実施法が施行された後、カジノを作る場所(自治体)を選定し、場所が決まれば、その自治体によって運営する企業、団体(カジノオペレーター)が選ばれ、カジノ開業に向けてスタートする。
国際カジノ研究所の木曽所長は「まず、3つの地域にカジノを作る方向で動いています」と説明。現在、東京、大阪、長崎、宮崎などの多くの自治体がカジノ創設に興味を示している。多額の初期投資に加え、継続的な税収と経済波及効果で大きなメリットがあるため、どの自治体もこの好機を逃すまいと、しのぎを削る。
しかし、検討されているカジノ法案では、手を上げたすべての地域にカジノが作られるわけではない。まず、3つの地域に、1つのカジノ施設を作ることが認められ、その動向を見ながら、最大10の地域にカジノ創設が認定される。
選ばれた自治体が、運営する企業を選ぶ。運営する企業、団体(カジノオペレーター)には、ラスベガス、マカオなどで実績のあるラスベガス・サンズ、ウィン・リゾーツなどのアメリカ系が有力だが、マレーシア、シンガポールで成功しているゲンティンなどアジアの企業も日本の市場を狙って食指を伸ばしている。
<経済活性化のための好材料>
日本は、カジノ業界にとって「ラストフロンティア」と呼ばれるほど魅力的な市場だという。木曽氏は「権利を1社独占にするかどうかはまだ分かりませんが、多くの企業に営業権利を与えることはないでしょうから、寡占市場になります。日本の企業と組んでベンチャーを立ち上げることも考えられるでしょう。どちらにしろ、市場としては魅力的。ライセンス制ですので、投資規模さえ間違えなければ、利益を出しやすい」と語る。参入企業にとって日本のカジノ合法化は、大きなビジネスチャンス。逆に日本にとっても、国際的に優良な運営企業からの投資を取り込める。その建設した複合施設内では国際会議、展示会などを開催し、外国人観光客を誘致する。その施設を軸に消費を呼び込める。経済を活性化させるためのプラス材料となる。
反対派の意見は主に「治安の悪化」。一昨年、2つのカジノがオープンしたシンガポールでも治安の悪化に関しては不安の声が大きかった。だが、運営側の開業前の徹底したリサーチと開業後の努力が功を奏し、「治安の悪化は見られない」(シンガポール政府観光局関係者)とのこと。カジノ都市として有名なマカオは観光都市でもあり、マカオ市政府や公安、カジノ側も周辺の安心安全には並々ならぬ力を入れている。中国の他地域と比べても治安は格段にいい。カジノに雇われている警備員の数も多いため、深夜でも外国人観光客は安心して外を歩ける。
次に、大成功を収めているマカオのケースを見てみたい。
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