世界的にこれからの成長産業と位置付けられているクリエイティブ産業。アニメ、漫画、ゲームなどのポップカルチャーだけでなく、メディアコンテンツ、広告、建築などその領域は幅広い。イギリス、韓国などは、戦略的にこのクリエイティブ産業を発展させ、輸出産業として成長させている。海外で「クール・ジャパン」と称され、人気の高い日本文化。これを新たな産業の柱にしようという動きが出ている。
クリエイティブ産業は、日本を支える新たな産業となれるのか。「クール・ジャパン」は海外で売れる産業となれるのか。
<産業構造転換の必要性>
これまで日本は、自動車産業、家電産業に頼ってきた。それらの製造業に依存するつもりはなかったのだろうが、それらが突出して発展し、経済を引っ張ってきた。その浮き沈みによって、日本の経済も左右される。
今後、高齢化と人口の減少が進めば、内需低迷の悪循環に陥る。グローバル需要の取り込みと産業構造の転換が、いま、必要とされている。新たな産業の柱を構築しようと、経産省が力を入れているのが、クール・ジャパン戦略と呼ばれるクリエイティブ産業の強化だ。クリエイティブ産業の市場規模は束ねると、約45兆2,355億円になるとも言われている。その規模は、自動車産業(約47兆1,866億円)や家電産業(約40兆1,379億円)にも匹敵する。
<アニメ、漫画だけではない>
海外で高く評価されている「クール・ジャパン」というと、アニメ、漫画などのポップカルチャーというイメージが強いが、音楽、映画などのコンテンツ、アートや伝統工芸など、その守備範囲は広い。食や観光を含めると、そのすそ野はさらに広がる。経産省では、これら「クール・ジャパン」を産業として発展させ、製造業に依存する産業構造の転換を図り、国際競争力を付けていこうと画策している。
アニメ、漫画は、その先兵となって、日本文化、日本らしさを世界でアピール。ヨーロッパやアジア各国で人気を博している。フランスでは「ジャパンエキスポ」という日本のアニメのキャラクターに扮したコスプレイヤーたちが集うイベントが開催されている。4日間の開催で約20万人の集客力を持っているが、これは、当の日本が主催したものではなく、フランスの日本好きのファンが始めたもの。中国では、日本発のファッション雑誌が人気で、中国版Ray、ViViなどがよく売れている。日本のファッションの注目度は高いのだが、実際に中国で売れている服は、中国のものである。繊維産業の輸出の度合いは低く、グローバルな潜在需要を取り込む形は整っていない。
日本のファッションやアニメなどのコンテンツにファンは多いのだが、この人気が必ずしもビジネスにはつながっておらず、その人気の高さから推し計れるほどには、稼ぐことができていない。「クール・ジャパン戦略」では、ファッションなど日本文化の海外での人気を産業として成り立たせ、そこから利益を出し、さらにクリエイティブなコンテンツを拡大再生産に持ち込むという流れを作ろうとしている。
果たしてクール・ジャパンは輸出産業となりうるのか。
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