＜癒着も甚だしいマスコミ記者さん＞
　福島第一原発の事故以来、原発立地自治体が抱える問題点について様々な報道がなされてきた。九州においては、九電玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長や町議らのファミリー企業が原発マネーで潤うという背任行為に等しい現状が暴かれているし、川内原発の地元鹿児島県では、伊藤祐一郎知事や県会議員の不適切な政治資金授受の実態が白日の下にさらされている。

　一連の報道をリードしてきたのが、福岡市に本拠を置く調査報道サイト「HUNTER」であることは、どのメディアの関係者も認めるところで、その調査力には舌を巻かざるを得ない。自慢するわけではないが、同サイトで活躍している記者は、データマックスで育ったという経歴を持っており、筆者は同サイトを応援している一人である。この記者が一人前になるまでには多大なサポートをしてきた。

　そのHUNTERが、２日、７日と続けて佐賀県庁の欺瞞を一刀両断に斬って捨てた。詳しくは同サイトの記事をお読みいただきたいが、佐賀県職員が玄海町側から交際費による接待を受けたとする新聞報道を受けて、佐賀県が公表した内部調査の内容に隠蔽があったというものだ。証拠書類と取材に基づく詳細な検証記事は、【若い記者たちのお手本】と言えるのだが、ここで疑問が生じてしまった。

　時系列的に見れば、いち早く玄海町の交際費に関する文書を入手したのは讀賣新聞など大手メディアの記者で、接待報道も珍しく新聞が先行した（報道は今年１月）。HUNTERの記事でも明らかなように、同サイトが交際費関連の文書を入手したのは３月でしかない。

　その後、HUNTERは交際費による地元紙の支局長送別会や県知事、九電への贈答品について報じ、最終的に隠された夜の接待を暴くに至っている。まるで大手メディアをあざ笑うかのような手際だが、同様の文書を入手していたはずの他社の記者たちは何をやっていたのだろう。

　佐賀県の発表した調査内容や、「問題なし」とした見解について、何の検証もしていなかったのは明らかで、あまりに無責任な姿勢というしかない。というよりも【行政との癒着を赤裸々にしたくなかった】という思惑が働いたのではないか！！

＜最後まで止めを刺す記事を一本、書いてみなさい＞
　じつは、原発をめぐる報道でも、ワーッと騒いであとは知らんふりという状況が続いており、止めを刺すまで粘る記事にはお目にかかったことがない。NET-IBでは、「株式会社 悠香」による石鹸販売の実態を詳しく報じ続けているが、被害者を含む多くの方々から激励や情報提供のメールが絶えない。これとて大手メディアの報道ぶりにあきたらない読者が多いことを意味している。

　弊社の記者がある取材先で次のような話を聞かされたという。取材先の人が「新聞記者に、どうしてHUNTERに抜かれてばかりいるの？なぜこんな大事な話（この時は県議の収賄疑惑）を新聞は書かないの？」と追及したところ「ネットメディアが書いた記事の後追いなどできないでしょう」と答えたという。自分たちが政治や行政の不始末を見逃していたという事実は棚に上げて、メディアの大小を言い訳にしたのである。傲慢というしかない。

　新聞は、報じるべきことをきちんと報じていくという姿勢で臨んでいるわけではなく、都合の良いものだけを選んで記事にしているという点において、もはや信頼を失っているのだ。鹿児島県庁や佐賀県庁の記者クラブに所属する記者たちに、特にその傾向が強いことは言うまでもない。

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