東日本大震災から1年が経過したが、鉄道業界においても、直下型地震に対応した耐震工事が進められている。
3月上旬、JR東日本は、総額1,000億円を投じて、新幹線と在来線の高架橋の柱、1万5,000本を補強し、東京駅の新幹線ホームでは、天井落下防止工事を行なうことを盛り込んだ計画を発表した。
JR東日本が10%と筆頭株主を占める東鉄工業は、この耐震工事をビジネスチャンスとしてとらえている。同社は、1943年、鉄道省の指示で設立された国策会社に始まる。現在は東証一部上場の中堅ゼネコンで、同社の2011年3月期の連結売上高921億円のうち、JR東日本関連は約8割を占める。鉄道線路保守では、JR東日本発注のうち3割を同社が行なっている。
耐震強化は、JR東日本だけでなく、東京メトロや小田急電鉄など首都圏の鉄道各社も進めている。
東京メトロ(東京地下鉄)は、耐震・津波対策に100億円を投じている。具体的には、高架橋の耐震補強工事を行ない、地下鉄駅構内の浸水・津波対策で、トンネルの入口に防水ゲートを設置し、浸水を防ぐ対策を行なう。
小田急電鉄は、5月1日、メイン路線の新宿 ― 本厚木間を中心に、高架橋や橋梁の耐震補強工事を行なうことを発表した。12年度は、小田原線の代々木八幡―代々木上原間、狛江―和泉多摩川間などを予定している。
公共工事の縮減のなかで、建設業界は厳しい状況を強いられてきた。鉄道などのインフラ耐震特需を通じて、建設業の新たな活路が切り開かれていくのかが注目される。
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