経団連のシンクタンク21世紀政策研究所が、レポート「グローバルJAPAN-2050年シミュレーションと総合戦略-」の中で「2050年には日本は先進国ではなくなる」との予測を出し、話題を呼んだ。
同研究所が出した日本経済の悲観的なシミュレーションが大きく取り上げられたが、むしろ大事なのは、レポートの後半部分。いかに、その悲観シナリオを回避するかだ。少子高齢化、雇用、財政問題など課題の多い日本。危機を克服するために、我々は何をすべきなのか?21世紀政策研究所を取材した。
<クリアすべき課題の共有>
21世紀政策研究所が出した2050年の日本経済を予測するシミュレーション。財政悪化により成長率が下振れした場合を考慮した「悲観シナリオ」では、1人あたりGDPで世界28位となり14位の韓国に抜かれるなど、厳しい状況が提示された。
東日本大震災を経験した日本の行く末に、課題が山積しているのは事実。テレビ、新聞の報道では、ネガティブな部分が取りざたされたが、このレポートは危機克服に向けた総合戦略を提示しており、むしろそちらの方が肝要。
研究に携わった21世紀政策研究所の石附賢実主任研究員は、「単純化したシナリオを出しています。その中で、基本シナリオや悲観的なシナリオを出しましたが、超長期の予測ですので当てにいっているわけではない。今後の『より強い日本』を作るために、危機意識を共有することが大事だと思います」と語る。
<2050年までに大幅人口減>
日本は、世界最速で少子高齢化が進んでいる。このまま、有効的な策を講じなければ、50年までに総人口は世界10位(約1億2,000万人)から17位(約9,700万人)に転落するという予測が出ている。この40年で日本人が約3,000万人、少なくなるという計算になる。
人口構造が、経済に与えるインパクトは大きい。労働人口が減るだけでなく、高齢者がそれまでに貯めた貯蓄を使うことにより、総貯蓄が目減りし、その分、日本経済に投資された資本が減る。
30年以降、恒常的にマイナス成長となる可能性があり、何も手を打たなければ、先進国から脱落する恐れもある。
日本が「極東の一小国」になり下がらないためにも、「取り組むべき課題は何か?」「何が現在の日本の問題なのか」「われわれ大衆はどう行動すべきか?」などの意識を共有し、その課題をともに乗り越えるために"オールジャパン"で挑むことが必要だろう。これまでは高度経済成長の貯金のもとに世界でも存在感を示してきた日本だが、多くの日本人が、意識を変えなければならない時は来ている。
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