<沖縄の米軍基地の現状>
沖縄県が祖国に復帰して5月15日で40周年を迎えた。
最近、海軍力の増強や尖閣諸島の領有権主張を強める中国の動向が、周辺海域の緊張を高めている。そのため沖縄にある米軍基地の地政学的な重要性は40年前よりも一段と増している。
嘉手納基地は太平洋地域で最大の空軍基地で、「太平洋の要石」と呼ばれている。東京、北京、ソウルに2時間以内に到着でき、ロシア中央部やインドへも5時間以内という地理的環境にある。冷戦下から現在まで日米同盟の枠を超えて、米国の極東アジア地域での国益確保という大きな意味を持つ存在となっている。
その他に、海兵隊の中枢司令部(キャンプ・コートニー)、海兵隊実戦部隊(キャンプ・ハンセン)、海兵隊ヘリ部隊(普天間基地)、陸軍特殊部隊グリーンベレーが常駐している(トリイ・ステーション)などが沖縄県に置かれている。
ちなみに海兵隊は、予備役を除けば、第1から第3まで3つの「海兵遠征軍」で編成されている。第1と第2は米国本土に配備されている。第3だけが常時、米国本土以外の海外に展開し、唯一の有事即応部隊となっており、(キャンプ・コートニー)には第3海兵遠征軍の司令部が置かれている。
<沖縄の米軍基地は25パーセント>
一般的に「沖縄には在日米軍基地・施設の約75パーセントが集中している」と言われている。これは大きな間違いである。
ここで言われている在日米軍基地・施設とは、米軍が単独で使用している基地・施設のことを指している。自衛隊が一緒に使用している三沢基地、厚木基地、岩国基地、座間基地などは含まれていない。これらの基地・施設を加えて再計算をすると、沖縄には日本全国の在日米軍基地・施設の約25パーセント程度しかないのである。
しかしすべてのマスコミがいまだに「沖縄には在日米軍基地・施設の約75パーセントが集中している」とする報道を繰り返している。
| (後) ≫
▼関連リンク
・濱口和久氏の新刊「だれが日本の領土を守るのか?」~5月31日発売!
<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。 公式HPはコチラ。
※記事へのご意見はこちら