インターネットでのオークション取引が人気だ。なかでも、DeNAが運営するモバイルオークション(モバオク)の人気が上がってきている。その半面で、トラブルが多いという現状はまだ改善されない。国民消費者センターに寄せられたネットオークションのトラブル相談は、2011年度で6,815件と、他の相談件数に比べて格段に多い。モバオクで詐欺行為の被害に遭ったユーザー2人に取材する機会を得た。顔の見えないインターネットでの取引のあやうい実態が浮かび上がる。
<トラブルが多いモバオク>
コンプガチャに関して、消費者庁は違法との見解を新たに示した。業界は、6月末にコンプガチャを廃止するなど早めに規制に対応し、手を打ったが、もともと違法に近いとの認識があったのであれば、業界のモラルを問われる。
コンプガチャの問題で浮き彫りになったのは、速いスピードで進化するインターネットのさまざまな形態に対し、法律やユーザー、運営側のモラルがその実態に追い付いていないという点ではないか。顔の見えないネット上で知らない人同士が取引を行うインターネットオークションでもトラブルが多発。細部に、モラル向上の呼びかけが行き届いていない。
DeNAの運営するモバイルオークションで、上野翔太さん(20代、会社員・男性・仮名)は、人気アイドルグループのオフィシャル写真を1万5,000円で落札、モバペイという運営側の推奨するシステムで購入した。しかし、数日後、出品者から送られてきたのは、オークションのページに掲載されていた商品とは、まったく別物の商品だった。
運営側に、「商品を受け取ったが、写真に掲載されていたものとは別物だった。オークションページに掲載されていた商品ではなく、枚数も少なく、無価値のコピー商品ばかりだった」と連絡し、相談手続きをしたが、システムに入金したお金は、「商品を受け取った」という理由で、運営側により商品の送り主に振り込まれてしまった。
<運営に連絡するも相手側に入金>
上野さんは「ユーザーによる『評価』に悪いが付いていない出品者だったので、入札しました。でも、届いた時点で、まったく違うものが入っていたので最近よくある詐欺行為に引っかかったとわかりました。何とか相手側に振り込まないように、運営に連絡を取ったが無駄でした。出品者に連絡を取り、返金交渉を進めようとしましたが、入金後、相手からの返信が来なくなりました」と話す。運営側からは、『本件での代金が出品者様へ入金となる事はすでに決定しておりますので、引き続き返金に関してはお客様間でお話し合いいただきご決定くださいますようお願いいたします』との丁寧だが、まったく当事者の立場に立っていない返答が返ってきたとのこと。
相手に入金された後、連絡は途切れた。ネット上で確認したところ、何人かが同じような被害に遭っており、質問欄などを使ってほかの被害者に連絡を取った。その被害者も、コピー品や偽物、写真に掲載されていたものとは別の商品が送られてきたという。お金は、出品者にすでに振り込まれてしまった。
ブランド品などでも、同様のケースが起こっているが、実際に、警察に被害届が受理されても、詐欺罪での立証が困難であることもあり、起訴に至る事例は少ないというのが現状だ。
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