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ちまたにあふれる猛毒PCB~めど立たぬまま40年が経過(前)
社会
2012年6月20日 15:00

 夢の油と呼ばれたこともあるPCB(ポリ塩化ビフェニル)。自然に分解されず、水にも溶けず、熱にも強い、長期間、劣化・変質しないとても優秀な絶縁油である。1960年代末まで、トランス(変圧器)やコンデンサ、蛍光灯の安定器など、非常に幅広い電気の分野で活用されてきた。そのPCBも、ただ一点だけ、それら優秀な点を覆い隠して余りあるほどの欠点がある。それが高い毒性だ。

 1968年、世界に名高い健康被害事件であるカネミ油症事件が起こった。食用油にPCBが混入し、それを摂取した人にさまざまな悪影響をおよぼしたのである。皮膚の黒ずみ、肝機能障害など、重篤な症状を訴える人が多数出たのだ。当時、世界的に問題になりつつあったPCBを詳しく調べると、どうやら発がん性があるらしいことまで分かった。それを受けて政府は72年、PCBの製造を中止、回収を指示し、廃棄処理に取りかかることを決めた。

 各家庭に散らばった夢の油を回収・処理することは、その処理技術の問題以上に心理的な問題でながく頓挫することとなる。PCBは高温で焼却すれば、分解することができる。その高温の焼却施設を設置しようと政府は動いたのだが、設置予定場所の住民たちの反対運動によって、まったく設置にいたらなかったのである。そうこうしている間に、熱かった世論も徐々に冷やされていき、PCBの問題は風化してしまった。1968年の問題発覚から30年間、PCBは放置されてしまったのである。

 20世紀の負の遺産を21世紀に持ち越すことは許されない。2001年、PCB廃棄物特別措置法が制定され、16年までに、日本にあるPCBのすべてを処理することが定められた。北海道(室蘭)、東京(江東区)、愛知(豊田市)、大阪(大阪市)、福岡(北九州)に、PCBの処理施設を設置し、そこでJESCO(日本環境安全事業株式会社。旧特殊法人環境事業団。政府100%出資企業)が独占する形で処理を進めることとなったのだ。
 これで安心、16年までに処理できるのだったら、2012年現在で、ほぼ8割、9割方処理は完了しているのだろう、国土から毒物がなくなるのはいいことだと、安心した方もいらっしゃっただろう。ところが実際は異なるのである。

(つづく)
【特別取材班】

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