<懸念される無関心>
前回、任期満了にともなう鹿児島県知事選挙が行なわれたのは2008年の7月13日。再選を狙う現職の伊藤祐一郎氏(当時60才)。対するは共産党が推薦する祝迫かつ子氏(いわいざこかつこ)(当時65才)の一騎打ちであった。祝迫氏は14万9,795票を獲得し善戦するものの伊藤氏が38万2,342票を獲得し再選。ただし、投票率は38.99%と低迷。4人の候補で争った04年7月の知事選の投票率63.91%から比べると、この低い投票率は鹿児島県民の関心のなさが表したものといえよう。
県民の関心の低さが「伊藤知事の強引な県政運営につながっている」と地元住民は言う。川内原発の再稼働をめぐっては条件付き容認としていたり、地元住民の意見を無視して産廃最終処分場の建設などを推進していたりするなど、強硬な姿勢は県民の意向をないがしろにしたものとも言える。
<各陣営を訪ねて>
今回の知事選は6月21日告示で投開票日は7月8日。現在出馬を表明しているのは3選を狙う現職の伊藤祐一郎氏(64)と脱原発を訴える向原祥隆氏(55)。争点となる川内原発の再稼働について、伊藤氏は「条件付き容認」、向原氏は「拒否」と見解が対立している。
伊藤事務所は鹿児島中央駅の前に構えている。気を付けてみないとうっかり見落とすほど地味であり控えめだ。伊藤氏への直接取材は基本的に拒否であり、これは各メディアにも同様な対応としているようだ。そこで窓口の男性に話を聞いた。
選挙活動の方針は「街頭演説は行なわず、各個別に集会を開いて支持者に対して選挙活動を行なう」としており、これは「知事の方針」としている。現在、資料は方針などを書いたパンフレットやリーフレットはなく、2期8年を記した知事の功績を称えたブックのみである。「後日、マニフェストとして発表しますからこれを見てください」とそっけない返事。来訪者も少なく、選挙戦は支援者に対して行ない、投票率の低さを味方にして守りを固めて戦うようだ。
一方、向原事務所も駅近くに事務所を構えている。こちらは、脱原発を掲げていることもあり、興味のある人々がひっきりなしに入ってくる。向原氏も直接取材に応じてくれた。
「第一声は県庁前で行ないます。県政を変えるためには『ここを変えるのだ』という意思を表示するためにも・・」と伊藤県政からの改革を唱えており、向原氏の意気込みは高い。また、脱原発での自然エネルギーでの産業推進を掲げ「天下り官僚の県政から民間土着の県政」としたスローガンを掲げている。街頭演説を精力的に行ない「最後まで声を枯らして走る」としており、こちらは幅広く県民に支持を訴える方針である。
2陣営のカラーの違いがはっきりと分かれた事務所の訪問だった。
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