現在、国内にあるPCB(ポリ塩化ビフェニル)含有製品は、1972年に製造中止されているため、40年以上前に製造されたものである。長い時間が経っているため、経年劣化などにより機器に破損が生じている可能性があり、2001年、保管者の届け出制度がつくられた。本リストは届け出がなされたものの一覧である。リストにあるのは、届け出をした者の氏名(法人名など)、保管してある事業所名、保管場所、保管してあるPCB製品の分類(照明用安定器、トランス、コンデンサなど)、数量となっている。
リスト中のPCB含有製品分類のなかでもっとも多いのが照明用安定器だ。これは一部の蛍光灯や水銀灯、ナトリウム灯などの灯具の電圧を安定させるための器機のなかにPCBが含まれているものを指す。ちなみに、安定器などは一般に微量PCB、低濃度PCBと呼ばれているが、これは機器全体の重量に占めるPCBの割合が低いという意味であって、薄いPCBが少しだけ付着しているということではない点は注意が必要だ。
安定器の処理費用は、
となっている。
安定器ひとつが1kgならば、29,400円の処理費用という計算式である。安定器の重量は製品によって2kg程度~9kg程度まで幅広い。安定器ひとつあたり6万円~27万円の処理費用がかかってしまう、ということなのだ。保有者によっては7割軽減(保有者3割負担)されることもあるが、それでもやはり負担は軽いものではなかろう。加えて、搬入するためのドラム缶、特定業者による運搬費などが別途必要になる。PCB処理は、廃棄物の処理であって、何かを新たに生産する前向きな投資とは言えない。企業が保管しているならば、おそらく優先順位は低くなってしまうことだろう。これで本当に2016年までに処理しきれると思っていたのか、疑問である。
さらに、これは正直に届け出た保有者の一覧である。市井(しせい)には、まだまだ未届けのまま眠っているものがあると推定されている。それらをどうするのか、また、処理をJESCOだけに独占させるのがよいことなのか、議論が巻き起こってしかるべきではなかろうか。
※記事へのご意見はこちら