<急ピッチですすむ整備工事>
鹿児島県が薩摩川内市に建設をすすめる産業廃棄物管理型最終処分場「エコパークかごしま(仮)整備工事」は、2011年、「十分な説明を!」と反対する地元住民の反対運動を押し切り建設工事が開始された。その後、工事は急ピッチで進んでいる。
この処分場建設事業は、事実上鹿児島県が建設に乗り出した案件だが、地元では地場ゼネコン植村組の救済策と捉えられている。環境に配慮し十分な対策を講じるとしてきたが、準備段階でほころびが目立っている。
<未公表の排水管を発見!>
この処分場の建設において「川の色が変わるほどの汚水が流れている」との噂を聞き、現地に入った。建設現場を迂回し、近辺の河川をくまなく調査。すると、コンクリート製の橋のたもとに、新しい緑色の排水管を発見した。流れ出ているのは白濁した水だ。
県および事業主体の鹿児島県環境整備公社は、処分場整備地の窪地に溜まった濁水は、一度溜桝に集めて浄化処理を行なったうえで、河川に流すとしていた。しかも、排水口は一カ所のみであるとしていたのだ。この新設されている緑色の排水管は未公表のものに違いない。
早速、環境整備公社の担当に話を聞いた。問題の写真等を見せると「この排水管の存在は知りません。至急調べます」とのこと。公社側はその存在を知らなかったのだ。翌日確認したところ、「よく調べたらこちらが把握していた分でした。当初状況がわかりませんでした」と前言を撤回し、雨水用の排水管と説明する。しかも、排水施設の一部が壊れ、そのため流れ込みが多かったのだという。
<ごり押し行政の結果>
当初、公社側は排水口は1カ所と明言しており、今回調べた排水管は野放しで川に放流していたことになる。公社側の言い分である「壊れていた」というのが事実なら、地元住民にも知らされることもなく、多量の濁水が川に流れっぱなしになる可能性があったのだ。ごり押し行政の結果とはいえ、公共事業とは思えぬ杜撰さである。
もともと、業者ありきの処分場といわれるこの事業。必要性に疑問があるだけでなく、脱法的な工事のあり方も問題になっている。鹿児島知事選の争点になっており、選挙結果に影響を与えそうだ。
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