<エネルギーバランスのいいブラジル>
ブラジルのエネルギー源は、水力、バイオマス、石油関連燃料(火力)とバランスが取れている。国内で生産されるエネルギーの約48%が、再生可能エネルギー。脱化石燃料を実現しており、全体の約半分を水力発電とバイオエタノール燃料でまかなっている。自国の主要エネルギーは再生可能エネルギーでありながら、石油と石油関連製品を輸出していけるという強みを持っており、エネルギー大国への道を歩いている。
高橋ウィルソン補佐官は、「ブラジルのエネルギー源は、クリーンです。現在のバランスに加えて、太陽光発電と風力が加われば、さらにエネルギーバランスのいい国になります」と、ブラジルのエネルギー源の軸の多さとバランスのよさに胸を張る。
日本は、火力と原子力に頼りすぎてきた。エネルギー供給源のバランスに対して"布石"を打ってこなかったのではないだろうか。原子力に問題が発生した今、エネルギー供給の軸のシフトが急務となっている。
資源、原材料、供給インフラなどの課題があるため、ブラジルのすべてを見習うということはできないだろうが、多様なエネルギーバランスに関しては、謙虚に、ブラジルを一つのお手本とすべきだろう。
<次世代のバイオエタノール>
ブラジルの農務省は、バイオエタノールの導入を、日本にも持ちかけたことがある。しかし、日本の石油会社などが反対。日本でバイオエタノール燃料を本格導入するには、パイプラインなどのインフラ整備などに大規模な投資が必要となり、リスクがある。中東の石油への依存からブラジルのバイオエタノールへの依存に移るだけだ、との理由で導入は見送られた。
現在、ブラジルでは、バイオエタノールを一歩前進させたディーゼル車を走らせることができるバイオ燃料の技術開発が進められている。原料は大豆であり、食糧としての需要も高いため、稲わらや木くずなど食物にならないもので大豆の代わりとなる原料を探し、セルロース系のバイオ燃料を効率的に作る技術が研究されている。技術的には木くずなどから燃料を作ることが可能だが、実用化するためにはまだコストがかかる。より安価にするための努力がなされている。
これが実現すれば、さらに燃料の脱化石化が進むことになる。エタノール先進国であるアメリカでも、昆布やバクテリアなどからアルコールを作る研究が行なわれている。
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