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特別取材

私大サバイバル時代突入! 九州で生き残るには?
特別取材
2012年7月19日 13:35

<文科省による政策の大転換>
monbukagaku.jpg 文部科学省は6月22日、私立大学と短期大学への『私学助成金』の支給要件を厳格化し、11年度に886法人に対し年間3,394億円の助成金を支給していたが、要件を満たさない大学への削減額を最大で従来の5倍にすることを決定した。
 さらに教育内容や財務改善が見込めない大学には、統廃合を迫るとしている。この10年、私立大(短大含む)のうち65校が学生の募集を停止しているといわれるなか、今回の措置によって、今後の私立大の削減・再編が一層加速するものと思われる。

 私立大の組織である、東京の上智・早稲田・慶應・明治・法政・立教・中央・青山学院、関西の関西・関西学院・同志社・立命館、福岡の西南・福大などが加盟する日本私学連盟124校、東京の帝京や国士舘、福岡の九産・九共などが加盟する日本私学協会390校、合計514の大学や短期大学343校に通う学生は約227万人(11年5月現在)であり、国公立大を含めた全学生の4分の3を占めている。

 助成金見直しの具体的削減幅の引き上げとは、(1)経営法人の財務情報の未公開校:1%から5%に拡大。(2)学生数や就職情報の未公開校:3%から5%に拡大。(3)不良法人の再度申請のための経過期間:5年間から7年間に延長。(4)定員オーバーして入学させている大学:削減幅を拡大。(5)創立間もない学校:審査の厳格化、となっている。
 加えて文科省は現在、金融投資で損失を出したり、学生数が定員を大幅に割り込んだりしている大学を「調査中」としており、法令違反があれば『学校教育法』に基づく「解散命令」も視野に入れている模様である。

 この背景として、まず、第一に取り上げねばならない問題は、「少子化による18才人口の減少」と「経済不況による私大志望から国公立大へのシフトチェンジ」である。
 とりわけ、県立高校の進路指導は、いかに自校の高校生徒が国公立に入学させるかを重んじており、私大は眼中になく、学生の第1志望が私大であっても国公立を受験させている傾向にあることを私大経営者は知っていなければならない。自ずと優秀な学生がとられてしまうことになるからである。

<志望傾向のローカル化>
 資料(1)を見れば、入学志願者数・合格者数から関東関西の大学のブランド力の相違がわかる。財務状況からも安定した収益の差が読み取れる。
 とりわけ、教育のカリキュラムや教員(教授外)の待遇面からもより充実した教員における授業教育のレベルの高低が推測される(資料2)。
 これからの大学格差は、学内の設備、IT教育の充実、海外有力大学との連携などのハード面の完成から、教育者の資質と学生が受ける教育の満足度合いがソフト面で重要視されてくる。

 2000年代の小泉政権による規制緩和政策により学校法人の厳しい審査から届出制となり大学全体の定員が増加する一方、少子化が急激に進み、大学・学部を選ばなければ、難関大学や医学部を除き、"大学全入"が現実味を帯びる状態になった。

 こうしたなか、ここ数年大学受験者の志望校選択に大きな変化が現れて来た。
 それは「志望傾向のローカル化」現象である。

 週刊誌「サンデー毎日」の調べによると、東京大学、京都大学の高校別合格者数で、東大ではベスト30に21の首都圏(東京・千葉・神奈川・埼玉)高校で占められている数字が発表されている。
 京都大学に関しては、京都周辺勢を中心に、上位3校は西日本の高校が占め、とりわけベスト10は、京都・奈良・大阪・兵庫の近隣2府2県が独占したしている。

 早稲田、慶応の高校別合格者ベスト30を見ても、すべて東京・神奈川・千葉・埼玉で占められている結果が発表されている。
したがって、ここに九州地区大学が生き残れる大きなチャンスが到来したと言える。九州地区の高校生は、親の経済的負担の大きさから関東・関西への志望校を地元にシフトチェンジし、まず国公立を選択し、九州における私大受験を考えるような時代になっていると言える。
 さすれば、私大のなかで学生の出口である大学卒業時における大学を選ぶことにつながる。すなわち、九州地区大学での生活で、教育施設の充実、受けたい授業の教授陣の層の厚さ、大学の特色が大きな要員となるが、近年大学へのアクセスと女子大生の動向にも関心が寄せられている。

 文科省による、大学の統廃合は今までない姿勢で「学校教育法」を全面に出し大ナタを振りかざしにかかっている、と言える。それゆえに、大学経営は危機とチャンスをはらんでおり、経営者の手腕が重要視される。

【佐藤 豊】

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