23日、東京電力福島第一原発の政府事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)は、最終報告書を提出した。同委員会は原子力発電の専門家や弁護士など10名で構成され、1年以上をかけて742名を対象に聞き取り調査を実施した。
焦点となっている、津波が襲う前の地震による原発の損傷に関しては、「津波が到達するまでに原子炉で閉じ込め機能を損なうような損傷が起きた可能性は否定される」とまとめた。また、今月5日に最終報告書を提出した国会事故調(黒川清委員長)が、拡散予測システム「SPEEDI」の活用に限界があるとしたのに対し、政府事故調は有用性があると結論付けた。東京電力の全面撤退に関しては、「(東電が)考えていたとは認められない」とした。
国会事故調が原発事故を、東電や原子力安全・保安院、政府などによる人災であると明言したのに対し、政府事故調は複合的な要因がその背景にあったと結論付けるに留まった。これで、国会、政府、民間、東京電力の事故調査委員会による最終報告書が出そろったが、原発事故の責任の所在についての明確な追及は、いずれの報告書でもされなかった。
最終報告書は、委員会のウェブサイトで閲覧およびダウンロードができる。
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