<自衛官OBを危機管理監として採用せよ>
阪神・淡路大震災以降、日本全国の自治体で、危機管理監(防災監)などの役職に自衛官OBが採用されるケースが増えている。
各自治体は危機管理監として採用する自衛官OBを、自衛隊時代の最終階級に応じて、都道府県では局長級、市町村では副市長(副町長、副村長)級として採用すべきである。現実はほとんどが課長級の扱いとなっている。
警察官OBや消防官OBを危機管理監に採用している自治体もある。しかし東日本大震災や、最近の九州北部地域を襲った集中豪雨被害への対応を見るにつけ、自衛官OBの危機管理監を増やすべきである。
災害が起こると、自衛隊、警察、消防、消防団が出動するが、一番厳しい場面では、必ず自衛隊が動かざるをえない。同じ自衛隊の経験を持つ危機管理監が自治体にいれば、首長を補佐しながら、一定の権限を付与することによって、自衛隊と連携し初動対応も迅速にできるはずである。
<危機管理監ネットワークを構築せよ>
警察の指揮命令系統は都道府県単位、消防は市町村単位、唯一、自衛隊だけが全国を単位に指揮命令系統が確立されている。
現在、官邸には内閣危機管理監というポストがある。このポストは警察出身者が就いているが、全国を単位に指揮命令系統の経験を持つ自衛隊出身が内閣危機管理監に就くべきである。自衛隊出身の内閣危機管理監を頂点として、自治体に採用された自衛官OBの危機管理監を組織化すれば、国家としての危機管理能力を高めることにもなる。将来的には、このネットワークの一部が日本版「危機管理庁」の基礎にも繋がるだろう。
危機管理に「想定外」はあり得ない。東日本大震災の教訓を踏まえれば、「想定外」をなくすことが危機管理の要諦なのだ。
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<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。5月31日に新刊「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版)が発売された。 公式HPはコチラ。
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