＜役人リタイア組と大手会社のＯＢ＞
　前回、レポートした通りに現代の【天国暮らし】の層は特定の少数成功者とか、資産相続者でなく一般階層から発展していたものであることが特徴だ。その中で【天国上暮らし】の大半は公務員退職者・大手企業の引退者で占められる。繰り返すが、ここでは事業の成功者とか、医者・弁護士の専門階層の大成者という特定ハッピー者達を除く。あくまでも一般階層を指す。その一般階層から【天国暮らし】が可能になるのだから現代がいかに豊かなレベルに達していたかがよーくわかる。

　収入でいえば最低月収50万円以上が条件である。それに現預金・有価証券の引き出し収入が不定期的にある層だ。役人であれば共稼ぎ（公務員同士の夫婦所帯）は60万ある（この役人同士の労夫婦が田舎の同窓会に出席すると一番、羽振りが良い）。大手企業のＯＢ達は公的年金にプラス会社年金が付加される。驚くことにまだ５％以上の利回り保証している企業もある。そうなると最低40万の収入にはなる。加えること他収入を含めれば50万円には届く。この50万の収入が確保されると付き合い範囲が狭くなった70歳からの老夫婦にとっては気分よく生活が送れる。筆者の試算によればこの【天国上暮らし】老人層は200万所帯400万人内外とみる。

＜天国上暮らし層の日常生活＞
　まずは地方公務員Ａ氏の日常生活を紹介しよう。65歳を過ぎて完全に仕事から縁を切った。毎日が日曜日である。３年前に築23年の自宅を建て替えた。Ａ氏にしてみればこれが最後の住宅建築であり健康が許す限りここに住み終えるつもりなのであろう。朝６時に起床して活動開始する。朝の散歩には１時間かける。庭掃除、菜園作りには余念がない。奥さんもガーデニングの趣味をお持ちでお庭は一年中、お花が満開している。

　Ａ氏の趣味は魚釣りで元の職場の仲間たちと月に２回、海上釣りに出かけているようだ。奥さんは奥さんで多趣味の方で友達たちと料理研究に勤しんでいる。Ａ氏と違って専業主婦として奥さんは余った時間の有効活用をしてきた。24時間フリーになったＡ氏とは関係なく自分の生活ペースのチェンジはない。Ａ氏はどうも時間消費に閉口している感じだ。しかし、突然、雲隠れの時がある。その時期は必ず海外旅行に出かけている。２泊３泊のようなチャチな旅行ではない。ついこの前までは南アメリカへ10日間、行っていた。年間３回の海外旅行を定例化しているようだ。海外旅行へは大半が単身のようだ。

　Ｂ氏の場合は大学卒業と同時に、民間大手の関連金融会社に入社した。金融業界はＭ＆Ａの荒波が襲ったが、Ｂ氏は運が強いというか、実力あったのだろう、いずれのケース（飲み干されても）席を守り切った。最後は取締役にも抜擢された。但し激務故に最終的には体調を壊し60歳でリタイアした。もともと財務畑であったことから財テクには長けていたのでかなりの金融資産を蓄えた。公的年金・会社年金に加えてこの財テク収入がある。

　Ｂ氏は転勤を転々してきたが、福岡に最終居住としてマンションを購入した。同氏は過去の会社関係の付き合いを極力、控えている。日常生活の付き合いは趣味の関係者達だ。水泳・詩吟の同好会に毎日のように外出している。Ａ氏の家庭と違ってＢ氏の場合は基本的には夫婦同伴の行動だ。海外旅行も年間４回、夫婦でエンジョイする。水泳に関してはマスターズへの参加のために練習に余念がない。Ｂ氏いわく「私の人生でいまが一番、健康指数が最高だ」。

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