――市議2期目終わりの10年5月、自民党を離れて大阪維新の会へ入ることを決意されたそうですが、その背景を教えてください。
辻淳子(以下、辻) 關市長の市政改革に反対する声は自民党市議団からもあがっていました。さらに、關市長は大阪市で医師としての仕事から助役になられ、(公務員の)労働組合も応援して大阪市長に選ばれた方ですが、關市長の人件費削減といった公務員改革に組合が反発したのです。そこで關市長はいったん辞職し、組合の応援を受けずに選挙を勝って改革に取り組みました。
その關市長が次の選挙で破れて、平松邦夫市長に代わりました。平松市長は「初の民間市長」と宣伝されていましたが、そもそも応援していたのは公務員の労働組合です。「決して市民のための市長ではない」と、私たちも訴えましたが届きませんでした。
關市長が立てていた行財政改革の5年計画は、平松市長に受け継がれましたが、市役所の雰囲気は元に戻ったと思います。組合を通さないと人事が動かせないなど、組合の意向が強く働くようになりました。しかし、大阪市はすさまじい財政難で、本当に改革を進めないと破綻します。その危機感から「維新なら改革ができる」という誘いに魅力を感じはじめ、また、橋下代表の行動力を見て、それを信じるようになりました。
もう1つは西成区の問題です。西成区は、ボランティア活動などで市民の方たちが積極的に貢献するという良さもありますが、ほんの一部のあいりん地区が区全体のイメージになっています。今、同地区では労働者の高齢化が進み、生活保護受給者が増えています。若い人たちが悪いイメージを嫌って他所に出ていくこともあり、西成区は65歳以上が30%を占めるほど超高齢化しています。そこで大阪維新の会の「大阪都構想」なら、3つの区が合区され、西成区のイメージも薄まります。「大阪都構想で西成区は変わる」という期待が大阪維新の会へと入った動機のなかで大きなパーセンテージを占めています。
――橋下徹大阪市長の「西成特区」とは、どのようなものですか。
辻 西成区を「子育てができる元気なまち」へ変えることを目指します。具体的方策は現在検討中ですが、「西成特区」のなかで動き出しているものが2つあります。1つが結核対策です。大阪市は結核の感染が多いのですが、とくにあいりん地区が多いのです。結核は、きちんと薬を飲めば半年ぐらいで治せますが、どうでもいいと思うのか、きちんと治療をせずに、その結果、ほかの人への感染につながっています。ここに1億9,000万円を投じて、高齢者全般も視野に入れて検診・治療をしっかりやっていきます。
もう1つは、9月から始まる教育バウチャー制度です。就学援助を受けている中学生に月1万円、学習塾やピアノ、スポーツなどの習い事にも使えるクーポン券を発行します。親が生活保護を受けていれば、その子どもも生活保護を受けるようになると言われていますが、貧困の連鎖を断ち切るために、また、親の経済格差が子どもの将来の格差とならないように子どもの教育に力を入れないといけません。
――改革がさらに進むことを期待しています。ありがとうございました。
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<プロフィール>
辻 淳子(つじ じゅんこ)
1952年11月29日生まれ。武庫川女子大学薬学部を卒業し、西成区で薬局を経営。父・辻昭二郎前大阪市議の後を継ぎ、2003年4月、統一地方選で自民党より初当選。西成区初の女性議員となる。2010年5月、大阪維新の会に入団。12年5月30日、第108代大阪市議会議長に就任(女性議長は3人目)した。NPO法人 教育再生・地方議員百人と市民の会理事長。
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