大分で長い歴史を持つさとうベネック。歴史の長さと比例するように、取引業者にとっても同社の存在は大きなものだったようだ。
―弁護士の説明によると、2013年6月期は18億円の赤字予定だという。
この説明に対しても多くの債権者から怒号が飛び交った。以下はその一部だ。
債権者「さとうベネックが赤字体質ということですが、御社の言う赤字とは資金不足のことでしょう。ダイセンにお金を貸したから資金ショートしたのであって、その説明(赤字体質といった表現)はおかしいでしょう。」
弁護士「ご指摘の通りです。貸付金により資金繰りが悪化して、資金ショートしたことは間違いありません。」
債権者「誤魔化そうとせずに、しっかり考えていただきたい。さとうベネックは大分県有数の企業で、危機に貧した時にファンドに売却されて、ダイセンが買った。その買収資金はさとうベネックから借りたのでしょう。ひっかきまわして、つぶれかけたら僕やめますじゃ納得できません。」
「買収資金の13億円を、さとうベネックの支払うべき工事代金から払っているのではないか。詐欺みたいな話だ。あくまでも自分の資金から払うべきだった。18億の赤字とは資金ショートではないか。とても18億円もの資金がこれからできるとは思えない。いつまでに資金調達するつもりなのか。」
弁護士「資金調達は喫緊の問題です。遅くとも、9月20日までには何らかの方向性は示さなければならないと思っています。」
債権者「31日は手形決済日でしょう。この手形は優先して支払うということでしょうか。」
弁護士「31日の手形債務は519万円。この債務については優先して支払いをさせていただきます。銀行取引停止だけは資金調達できなくなるため、絶対に避けなければなりません。申し訳ございませんが、519万円については優先してお支払いさせて頂きます。」
また、大分における、さとうベネックの存在感を感じさせる意見も散見された。
「これまで、弊社では『べネックなら』ということで、さとうベネックからの仕事なら安値でも引き受けてきたが、今日の説明会でそれは完全に覆された。」
「さとうベネックさんとは長い付き合いです。私の会社は小さな会社で、入金がないとかなり厳しい。ほかにも多くの債権者も同様でしょう。協力してくれというなら、それなりの誠意を見せるべきだ。準備されている書面もない。こんなことでは信用できない。さとうベネックさんには潰れてほしくないが、取引を続けるのは不安でたまらない。」
13時半に始まった説明会において、さとうベネック側からの説明は15分程度。説明会の終了時刻は16時過ぎだった。質疑応答は約3時間にも及び、出席した債権者からは怒号と失笑が入り混じった多くの声が同社に投げかけられた。
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