8月29日、(株)さとうベネックは債権者へ向けて一通のファックスを送った。内容は、「債権者説明会の開催について」。開催日時は翌日の30日午後1時30分から、会場は大分商工会議所6F大ホールと記載されていた。
以下は当日の会場内で行なわれた質疑応答の生々しい声だ。
説明会開始後、まず同社代理人弁護士の渡辺氏によって、20日の決済不調と現状の財務状況について語られ、次に8月末日までに支払期限の到来する債務についての一部支払猶予のお願いについても語られた。このように15分程度、さとうベネック側から説明された後、質疑応答の時間に移った。
債権者「説明会開催の通知はすべての債権者に出しているのか」
弁護士「すべての債権者に出しております」
弁護士からの返答に対し、会場から次のような声がいくつも上がった。
「ファックスは来ておりません。その他にも連絡は一切なかった。20日の不渡りの通知すらなかった」
弁護士は、さとうベネック経営陣に確認し、以下のように返答した。
弁護士「今、岩田副社長に確認しましたところ、すべての債権者には通知していないということでした。通知した債権者は手形ないし工事代金を現金で支払う必要のある債権者の方のみということでした。リース債権者などへは通知が漏れていたようです」
「手形の債権者ですが、説明会の通知はおろか、不渡りの通知も来ておりません。いい加減すぎやしませんか。そんなんで今後の支払猶予なんてできやしませんよ。先日通知が来ていたという、『月末に買い戻しする』という話もないってことですよね。」
弁護士「1億5,000万円に関しては、按分して返済させていただきます。その按分額については後日通知いたします。申し訳ございませんでした。」
さらに、ダイセンホールディングスが、さとうベネックから同社の買収資金を金銭消費貸借契約により借り入れたという説明について、「契約は交わしているというが、契約書と返済日時が記載された概要と返済計画を債権者に開示すべきだ」という声が上がった。
弁護士「内容は受任して間もないので確認して検討します」
債権者「検討するじゃなくて間違いなく開示してくれ」
弁護士「私は、さとうベネックから28日に本件を受任しました。契約時のことは知りませんので、契約書が実際にあるかどうかは確認できておりません」
債権者「先程代表は契約したといったじゃないか。その際に作成した契約書を開示してください」
弁護士「契約書を確認次第、開示します」
業務提携先への打診は説明会前日だといい、弁護士が受任したのは前々日だという。「支払い猶予のお願い」という難しい選択を迫られた債権者からは、今回の説明会について「拙速だ」と、落胆の表情を見せた。
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