次の総選挙へ向けて、橋下徹大阪市長が代表を務める大阪維新の会(以下、維新)を中心に、第3極勢力の動きがあわただしくなっている。第3極からの出馬を目指す"志士"たちは、はやる気持ちで情勢の変化を注視しており、とくに選挙未経験者からは不安の声もあがっている。
東海4県をはじめ、全国での候補者擁立を目指す河村たかし名古屋市長の減税日本(以下、減税)は、中京維新の会を立ち上げた大村秀章愛知県知事が『獅子身中の虫』になった。橋下氏は、名古屋市議会リコール運動でも名古屋へ応援にかけつける(写真)など、改革派首長として盟友関係にあった。しかし、既成政党との激しい戦いが予想される総選挙では、河村・大村の両氏の確執が不安材料になる。
河村氏は2日に開かれた、維新・辻淳子大阪市会議長の議長就任パーティーに、減税の愛知県議、名古屋市議らとともに出席、集まった人々の前で新興勢力の団結を訴えた。その声は、橋下氏に届いただろうか――。
9日、大阪市で行なわれる維新八策をテーマとする意見交換会へ、河村、大村の両氏が出席する予定。TPPへの参加(維新:賛成、減税:反対)、国民総背番号制(維新:賛成、減税:反対)など、維新と減税には、それぞれ掲げている政策に違いがあり、連携に向けてこれらの問題点をどう乗り越えていくかが注目されている。
一方、かねてより維新へ秋波を送っていたみんなの党は、自身の党勢拡大路線を捨てきれず、維新との距離が開いてしまった。維新とブレーンが同じことを強調し、その類似性をアピールしてきたみんなの党・渡辺喜美代表であったが、維新の政党化(みんなの党から国会議員3名が合流)を危ぶんだか、党を解体し合流とまでは踏み切れなかった。かねてより自党の候補予定者に対して維新との連携を約束してきた渡辺氏。維新との破局が決定的になれば、自民党・谷垣禎一現総裁以上に求心力をなくすことになるだろう。
「比例代表投票先は維新23.8%で第1位」(FNN世論調査)と、維新への支持が高いことが明らかにされた今、連携をめぐる各勢力の上層部の動きに現場は少なからず動揺している。第3極での立候補を模索している元既成政党の地方議員経験者は、「もし、同じ選挙区に維新が候補を立てれば票が割れる。第3極の共倒れは避けるべきだ。結局、得をするのは自民といったところになる」と語る。組織票を数に入れる選挙の経験から、連携がまとまらない場合、「第3極の最大のライバルは第3極」になるという。
橋下氏は以前から「仕組みを変えることは政治家の仕事」と言ってきた。維新八策でも真っ先に「統治機構の作り直し」を掲げ、その内容に「地方分権型国家」(最終的に道州制)を示している。この点において、第3極各勢力の考えは一致しているはずだ。まず、連携して総選挙で勝利を収め、統治機構の機能を回復し、政策論争ができる環境を整えることが先決なのではないだろうか。9日の意見交換会の内容に注目したい。
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