<いかにリピーターを確保するか>
この夏に全面開業したばかりで、今後、盛り上がりの継続や、リピーターを増やしていくことが課題として挙げられる。継続的に盛り上げていくための斬新な企画を打ち出し続けることができるかどうか――。
「今は東京だと、新宿のスタジオアルタの名前は全国的に知られていますが、小倉のあるあるCityといえば、誰でも名前を知っているような発信基地にしていければと思います」(川森社長)と、情報を発信し、サブカルチャーを生み出すのは、東京だけではないことをアピールすることで、魅力を強めていく。さまざまなことを体験できる施設にしていく取り組みも進める。今は、グッズを買ってもらったり、ライブを見てもらったりするだけだが、今後は施設を活用し、アニメソングののど自慢大会を開催したり、コスプレイヤーにモデルになってもらって本格的なカメラで撮影会をやったりするなどのイベントを企画する。
これまで東京、大阪などの大都市でしかあり得なかったことを、あるあるCityが軸になることで小倉から仕掛けていく。たとえば、ボーカロイドの初音ミクのような影響力のあるキャラクターを、みんなでアイデアを出し合い、北九州ならではのカラーで創出し、みんなで育てていくようなかたち。文化を生み出す流れをつくり、サポートする。
<サブカル分野の人材育成に注力>
長期的に見て、地域経済に貢献できるかどうかも課題の1つ。北九州市漫画ミュージアムを含めて、短期的な集客、利益だけにこだわらないことが肝要だろう。あるあるCityでは、漫画家やアニメーターなどサブカル関連のクリエイター、起業家の支援をしていくことを目指している。「サブカルチャー関連の起業家の支援や漫画に関心のある若手クリエイターの育成について、北九州市と一緒になって企画していきたい。小倉にはスペースはいっぱいあるので」と、川森社長は小倉駅北口を拠点に、はばたく若者に期待を寄せる。
「今、子どもたちにとっての遊び場が少ないんです。自分たちの子どもの頃は、路地裏でメンコをやったり、ベーゴマを回したりしていた。今の子どもたちは、メンコの代わりにカードゲームをやる。そういう遊び場があって、イベントがあれば、子どもたちは集まる」(川森社長)。テレビゲームやパソコンでのゲームで遊んでいるだけでは、人間同士の直接的なコミュニケーションは生まれない。インターネット上でつながりはつくりやすくなったが、ネットだけでは人間の心の部分でのコミュニケーション能力は養えない。川森社長は、「昔は、子ども同士で遊んだりしているときも、悪いことをしたら近所のおじさんに叱られたりした。逆にそういうことが大切だと思う。以前は、至るところにあった遊び場や交流の場を提供できればと思っています。そういうコミュニケーションが生まれる場をつくることができれば、あるあるCityはまだまだ伸びると思っています」と語った。
才能や作品は、地域の資源となり得る。子どもの頃から、サブカルチャーに触れる機会が多く提供されることで、北九州近辺の若者たちの創造力、クリエイティブな可能性が、近い未来に引き出されるかもしれない。
≪ (前) |
※記事へのご意見はこちら