福岡県飯塚市内住(旧筑穂町)の産業廃棄物最終処分場を巡り、住民が廃棄物の撤去などを求めていたが、9月13日午後1時に小川洋福岡県知事が問題の産廃処理場を視察した。現職知事が住民訴訟に敗訴したことを受けて、産業廃棄物処理施設を視察するというケースは全国でも例がない。
この問題は、福岡県飯塚市(旧筑穂町)の(株)藤宏産業の産業廃棄物最終処分場の周辺地区に有害物質が流出。悪臭と近隣地域の地下水を汚染したことで地元住民から住民訴訟が起こされていたもの。2011年2月に福岡高裁での控訴審で、処分場から、有害物質が流出しており、産廃の撤去など環境保全に必要な措置を講じるよう、業者に命じることを求める判決が出されていた。福岡県は高裁判決を不服として上告。今年7月に最高裁は福岡県の上告を棄却し、高裁判決が確定。判決を受けて、小川知事は、年度内に措置命令を出すと言明していた。
今回の知事の視察には、県の環境部長や産業廃棄物対策課のほか、地元自治体から飯塚市長や担当課長、この問題に当初から取り組んできた原中誠志県議と江藤秀之県議も同行。原告住民でつくる「飯塚市筑穂自然環境対策住民会議」代表の梶原啓行さん(71)など住民の方々も参加した。
小川知事は、現地を視察後、記者団に対して「ボーリング調査などを行ない、措置命令を出していきたい」と決意を語った。原告代表の梶原さんは「前の麻生知事のときは門前払いだった。これからの県の動きを見守って行きたい」とコメント。今後の福岡県の動向に注目が集まっている。
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