中国各地で100件を超える反日デモが起き、日本企業が経営する店舗に対する破壊・略奪行為が頻発しており、邦人の安全が懸念される事態になっている。
こうしたなか、ファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料チェーン「ユニクロ」の中国上海の郊外にある1店舗において、「支持釣魚島是中国固有領土(尖閣諸島は中国固有の領土であることを支持する)」という張り紙が、ショーウインドーに張り出されたことが問題となった。
この店舗の現地従業員が15日午後、独自の判断で張り紙を掲示。約40分後に撤去されたという。張り紙が貼られた店舗の写真が、フェイスブックなどインターネット上で拡散され、「ユニクロは売国企業だ」「不買運動を行なうべき」など厳しい非難が巻き起こっている。
これに対しファーストリテイリングとユニクロは9月18日、「一私企業が政治的外交的問題に関していかなる立場も取るべきではないと考えており、このような行為があったことは大変遺憾であると考えております。今後は、二度とこのような事が起こらないよう社内徹底してまいります」との釈明を、同社ホームページに発表。
中国の反日デモ隊の襲撃を避けるための行動とはいえ、日本企業の現地店舗においてこのような掲示を一時的にせよ、現地従業員の判断で行なったことは、個人の判断では済まされない。同社の信用を低下させる行動であることは間違いない。
一企業のビジネスにおいても外交や安全保障など国と国との立場の違いは、厳然として存在していることを、今回の問題は明らかにしている。
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