危機においてこそ、政治、リーダーシップの本質が問われる。尖閣諸島、竹島の領土問題に揺れる日本。今後、長い視点で見て、よりよい国を作っていくために今、日本にはどのようなリーダーが必要なのか。危機にある日本を引っ張っていくリーダーに求められる資質、リーダー像とはどのようなものなのか。リーダーシップ論に詳しい国際政治学者の藤井厳喜氏を取材した。
<危機を突破する能力>
今、日本に必要なリーダーは、"今そこにある危機"を乗り越え、大衆をあるべき方向に導き、日本の抱える外交的、経済的な危機を突破する能力、胆力のあるリーダーだ。
普段から準備をして、先見力を持ち、前例のない事例に対して判断をし、予見し、決断を下す必要がある。
国際政治学者の藤井厳喜氏は、「危機に際し、その危機に対応することこそが政治の本質」と述べている。
今、日本に、人材がいないわけではない。「今のような危機に際し、立派にリーダーを務められる人はいると思う。しかし、人間性もしっかりしている人が、肝心のポジションに付いていないことが多い。それが今の日本の抱える問題点でもある」と藤井氏は指摘する。
リーダーといっても多種多様。時代に求められ、立つべくして立つリーダーもいれば、平穏な時代に、のらりくらりと、トップに押し出される平凡なリーダーもいる。平穏な時代には、自身は平凡でも周囲の人材の言うことをよく聞き入れ、調整できるリーダーのほうがうまくいく時もある。
<安定期は調整能力のあるリーダー>
江戸時代の国内的に平和な時代や、日本が上昇気流に乗っていた自民党政治の時代は、危機に際してはいなかった。そういう安定期は、周囲を『まあまあ』とまとめられる調整能力のある人が、リーダーに就けばうまくいく。藤井氏は、「自民党時代の竹下登首相は、アメリカとも中国とも仲良くやった。利権のファイン・チューニング(微調整)の名人だったと思う。しかし、国家的な危機に陥った場合は、調整能力だけでは切り抜けることはできない」と語る。
現在の日本は、尖閣諸島、竹島の領土問題や、欧州経済不安に端を発する世界的な経済危機、雇用の問題を抱えている。さらに、これから日本は、超高齢社会に突入する。変革期にただ中にいる。リーダーの選択、決断1つで、国の行く末が大きく変わる可能性もある。そういう時代には、危機突破の胆力のあるリーダーが求められる。
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