<変革期に必要な国際交渉能力>
危機の時代のリーダーは、交渉能力がないとやっていけない。藤井氏は、「今の日本のトップリーダーには、アメリカや中国、韓国と国際的に交渉する能力が足りない」と話す。
トップリーダーの国際交渉能力がずば抜けていれば、韓国との間に抱える竹島問題も、もっと有利に進められるはずだったのでは、と指摘する。「1999年に、韓国ウォンが崩壊しそうだったころ、韓国は日本に泣きついてきた。日本は、韓国との交渉を有利に進めるカードをいくつも持っている。しかし、今の政治家のリーダーたちはカードを使わない。スワップ停止にしても、国債にしても、経済レベルの制裁措置など切れるカードはたくさんある」と語る。
<国益を守るのがリーダーの役目>
経済的な措置は、武力での衝突に比べると、外交のカードのなかでも数段、ソフトな対応だと言えるだろう。「経済的なカードを切れば、部品や素材を売る側の日本も困るだろうけど、売ってもらえないほうはもっと困る。そういう肉を切らせて骨を断つ、経済的な制裁のカードも持っている。それ1つ取れない」と、トップリーダーの胆力のなさを批判する。
しっかりとした態度で、対応してこなかった結果、相手は、「日本は、どのへんまでやっても怒らないのか。どの程度まで大丈夫なのか」と、中国、韓国から外交的に試されることになった。
エスカレートした形が、半ば知らず知らずの間に実効支配を許してしまった竹島であり、尖閣諸島問題の反日デモ、漁船による領海侵犯である。
藤井氏は、「日本がしっかりした態度を取らなければ、中国にいる日本の企業や、日本人の労働者や学生たちが困る。政府がしっかりした対応をして、中国にいる日本人たちを守らなければならないのに、対応が甘い。国益を守れるリーダーが必要」と語った。
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