<安全保障の小国・日本>
1945年、日本は第二次世界大戦に敗れ、吉田茂首相が、連合国軍占領下の総司令部GHQとの交渉に奮戦した。「いかに日本に有利になるかを考えて私利を捨て、交渉した。しかし、占領政策基本法をもとにした憲法はそのまま残っている」と藤井氏。1964年の東京オリンピックを機に、日本は経済的に大きく発展した。経済は伸びたが、しかし、国際的に見て一流国の条件でもある国防、安全保障に関しては、いまだにアメリカ頼りである。戦後、自国の防衛を他国頼みにするという矛盾を抱えて、ここまできた。
藤井氏は、「非常にアンバランスな国になっていて、経済大国でありながら、国防面では小国。早めにバランスを取らなければならなかった。日本も安全保障面で、アメリカに負担をかけずに、より自立する道を歩まなければならない時期ではないか」と、問題を提起する。
<ビジョンを示し、遂行する>
国家の定義として、一流国は、自分の国は自分で守らなければならない。
藤井氏は「いざという時に、自分たちの犠牲を払って、国や家族を守れる覚悟があるかないか。経済だけではなく、安全保障について真剣に考えなければならない時期は来ている」と話す。
マクロ経済のビジョンだけでなく、国防、安全保障について、国民に対し国家的ビジョンを示すことができるということが、これからの日本を運営していくリーダーの条件の1つになるだろう。「もう1つのリーダーの条件として、国民と直接コミュニケーションを取れる人、これも重要。大衆と直接コミュニケーションが取れる人はなかなかいない。たとえば、マスコミと敵対してでも、ビジョンを遂行できる人。国民と直接、コミュニケーションを取ることで『国民は何を考えているのか』を的確に汲み取り、それを正して、あるべき方向に導くことのできる人じゃないとだめ。有能でも一人では何もできない。優秀な人材を周囲に集めて、その能力を使いこなす。周囲の力を巻き込む能力、人材を使いこなす能力もリーダーの条件の1つ」と語る。
藤井氏は、リーダーにふさわしい人材として、(1)ビジョンを示し、遂行する能力のある人物。(2)国民、大衆と直接コミュニケーションを取ることのできる人物。(3)周囲に優秀な人材を集め、その能力を存分に使いこなすことのできる能力。以上の3つの条件を挙げた。
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