「福岡で福島を考える会」の第1回会合が11月2日、福岡市城南区で開かれた。福島第1原発の事故から1年8カ月、福島原発の被害や「脱原発」について「まだまだ自分の問題よりも遠い問題として、日増しに関心が薄れてきているのを危惧して開いた」(吉良文江代表発起人)もの。「3・11」前から玄海プルサーマル裁判に関わるなど、原発に反対してきた吉良さんら城南区の近所の主婦3人が発起人となってよびかけた。
「第1回考える会」では、九州電力玄海原子力発電所のプルサーマル運転差し止めや運転差し止めなどを求めている「玄海プルサーマル裁判の会」の石丸初美原告団長、福島から福岡への避難者宇野朗子さんが講演した。
石丸さんは、原発の危険性や「核のゴミ」の問題、被ばく労働なしに成り立たない非人道性を詳しく述べたうえで、文部科学省の小中高校生向け放射線副読本を取り上げて、「政府は原発の安全神話から『放射能は安全』に切り替えている」と批判。「政府がやってくれるわけではないので気付いた人がやらなければいけない。小さな力でも束ねると、大きな力になる」と訴えた。
宇野さんは、自分の避難の体験を語りながら、現地と被災者の状況を報告し、「福島ではまず健康の不安を抱えている」「自主避難者への公的支援は皆無です」と不安を語った。東電幹部らの原発事故の刑事責任を問う原発告訴団2次告訴が1万人を超えたと紹介し、「無責任社会に終止符を打ちたい」と述べた。また、6月に成立した「子ども被災者支援法」について、基本方針策定に向けて被災者らの声を聞く段階だが国民に隠れて策定作業が進められようとしているとして、「避難している人の人権だけでなく、避難できずに苦しんでいる人の避難できる前提条件を整備し、避難しないで暮らし続ける人々が健康で暮らせるために、国の具体的支援を実現させたい」と呼びかけた。
「考える会」終了後、吉良さんは「原発反対がメインではなく、どうすれば私たちの暮らしが人間らしく尊厳を持って生きられるようになるかという視点ですすめていきたい」と、今後の抱負を語った。
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