<新党集約の動きが急展開>
脱原発を実現する動きが、急展開を見せている。27日、嘉田由紀子滋賀県知事が、原発ゼロを目指す「日本未来の党」(以下「未来」)結成を表明した。段階的にすべての原発の廃炉を目標とする「卒原発」を掲げ、自らが選挙の顔役になり、脱原発を目指す政党の結集を図る。橋下徹大阪市長のもとでブレーンを務めた環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏が、代表代行を務める。
嘉田知事は、関西電力大飯原発の再稼働に反対し、脱原発実現を模索してきた。当初、嘉田氏も飯田氏も、橋下氏と共同戦線を張り、脱原発を成し遂げようと試みていたが、石原慎太郎氏の太陽の党との合流で、日本維新の会は原発ゼロ推進から後退。新党を立ち上げることで原発ゼロへの道を切り開く。
「未来」結成からすぐ、小沢一郎代表の「国民の生活が第一」、河村たかし名古屋市長と山田正彦元農水相が共同代表を務める「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」、「みどりの風」の一部議員が合流を表明。「卒原発」を旗印に一大勢力を形成する。
<都知事選も「原発」が争点>
「脱原発」を願う有権者が、どの政党に投票すればいいのか、複数政党が乱立のままだと迷うばかりであったが、「未来」が結成されたことで、脱原発実現への票が集約されて「死票」がなくなる。
12月16日に、衆院選と都知事選(29日告示)の投開票が行なわれる東京都。都は、東京電力の筆頭株主でもあり、都知事選でも「原発」が争点の1つになる。現在のところは、石原慎太郎前都知事の後継者に指名された副知事・猪瀬直樹氏が優勢と見られている。
27日、「脱原発」を掲げる都知事選立候補予定者の弁護士・宇都宮健児氏を応援する集会が、港区の日比谷野外音楽堂で行なわれた。この日の応援には、「未来」で代表代行を務める飯田哲也氏も参加予定だったが、滋賀県での嘉田氏との記者会見に出席したため、東京の集会には欠席。しかし、嘉田代表らは、宇都宮氏と「脱原発」の旗印のもと、都知事選挙での協力関係を作っていく見込みだ。
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