NET-IBでは、政治に対するご意見をお寄せいただいた方を対象に山崎広太郎元福岡市長の新著『紙一重の民主主義』をプレゼントする。
山崎広太郎氏は、1965年に九州大学法学部を卒業後、自民党福岡県支部に職員として奉職。以来、福岡市議会議員を5期19年、市議会議長を経て、衆議院議員を1期務め、福岡市長を1998年から2006年まで2期8年務めあげた。まさに政治家人生に身をささげたといってよい。現在は、インドネシアでマングローブ植林活動を行う「NPOライオンズの森プロジェクト」を立ち上げ、ライオンズクラブの協力を得て、マングローブの植林活動に力を尽くしている。2012年春には、旭日重光賞を受賞。同氏は、叙勲を契機にこれまでの政治家人生での経験を踏まえて『紙一重の民主主義』(PHPパブリッシング)を出版された。
戦後日本は「民主主義をないがしろにしてきた」のだという同氏の指摘は、政治が混迷する今だからこそ受け止めなければならないのではないだろうか――
<国民が意思を示さなければ政治は前進しない>
同氏は日本政治の分岐点を1990年にあると指摘する。1945年の終戦から90年までの45年間は「わが国にとっては良き時代であった」ともいう。日本は、空襲による焼け野原からの復興を経て、高度経済成長の波に乗り、経済万能の国として発展した。国民の関心も専ら経済的な成長に向けられてきた。経済発展とともに農村集落中心の共同体から都市に人口が集中していった。それにともない家族制度は崩壊していくなかで、個人の自立は促されることになった。
しかし「それはあくまで経済面での自立であって、個人といえどもなんらかの形で組織に帰属しており、精神面での自立で、すなわち国家対個人、社会対個人として自分を考えるような自立ではなかった」(同書)
近年、官僚政治の弊害が指摘されるが、日本の官僚は中央官庁も地方自治体も諸外国と比較して見た場合、優秀であり清潔である。身分制度に関係なく公平であり、明治以来の近代国家形成に果たした役割は大きい。しかし、彼らの意識には統治機構としての国家しかなく、国民への奉仕という思いが欠落している。
国民の側にも問題があると山崎氏は指摘する。国民の側に行政に何かをしてもらうという受身の姿勢が強いことは、生活保護受給者の増加を見れば一目瞭然だろう。その意識レベルのままでは、お役所にしてもらう体質から一歩も脱却しない。やはり、お上頼みから脱却し、民主主義社会が前進するには、健全な世論形成が不可欠である。
このことを考える上で、同書の一節に思わず目をとめたのが次の言葉である。
「世論というものは、手を触れれば必ず火傷するように、国民の常識にもとづく持続する意思でなければならないと思う。」
"手を触れれば必ず火傷するように持続する意思"―――
手を触れれば火傷するかの様に持続する意思。同氏が最も訴えたい主権者としてのあり方であり、また、民主主義の本質なのではないだろうか。
山崎氏が福岡市長の職にあった2期8年は、1998年から2006年。いわゆる失われた20年の時期にあたる。中央集権型国家が行き詰まりを見せ、地方分権が進んだのもこの時期だ。現在、福岡市の財政状況を見ると、年々圧迫しているのが扶助費、いわゆる生活保護費の増加である。少子高齢化の進行とともに福祉予算の増加はやむをえないことではあるが、地域住民にとって「顔の見えない国の施策となれば貰ったが得」というものになってはいないか。
ケネディが大統領就任演説で「あなたの国があなたのために何ができるかを問うのではなく、あなたがあなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」とスピーチした話は有名だが、今まさに国民・市民が主体的な主権者としての自覚を高めることが求められている。逆に言えば主権者としての自覚に目覚めることで、日本の政治も地方自治もがらりと変わりうるのだ。日本の民主主義を「紙一重の民主主義」と同氏が呼ぶゆえんである。
今回、NET-IBでは、読者プレゼント企画として、今の政治に関するご意見を募集する。いただいたご意見は、後日、選考の上でNET-IBに掲載。選考された方から抽選で5名に、同著作(「紙一重の民主主義」を進呈する。今の日本を変えるために「主権者」である国民一人ひとりがいかにあるべきか――。忌憚のないご意見とともに奮って応募いただきたい。
■プレゼント応募方法
下記メールアドレスの件名に「山崎広太郎氏著作プレゼント係宛て」と明記の上、1.氏名、2.郵便番号、3.住所、4.電話番号、5.年齢、6.「今の政治についてのご意見」(必須)を書いてお送りください。
応募先アドレス: kondou@data-max.co.jp
<応募締切>
12月18日(火)まで
※当選の発表は発送をもってかえさせていただきます。
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