<あえて強敵のいる東京8区で>
脱原発実現に向けて活動を続けてきた俳優・山本太郎氏(38)が、16日投開票の衆院選で東京8区から立候補した。同選挙区には、自民党・前職の石原伸晃氏(55)、民主党・新人の円より子氏(65)、共産党・新人の上保匡勇氏(28)が立候補。山本氏が立候補したことで、東京8区の杉並区は、脱原発をめぐり、注目の選挙区になった。
現在、優勢と見られているのは、自民党の前幹事長・石原氏。1990年の初当選以来、旧東京4区からの出馬を含めて杉並区で7期連続当選。山本氏はツイッターで「東京最強の人」と評したが、その石原氏がいる杉並区にあえてぶつかってきた。日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事らとのつながりもあったが、今回はあえて無所属で出馬。自民への追い風が吹くなか、真っ向から勝負する。
6日、山本氏は阿佐ケ谷駅前で街頭演説。「東京も放射性汚染物質で汚染されている。本当に安全ですか?杉並はどうですか?詳しくはわからない。それはなぜか。細かく調べてないからわからないんです。本当のことを調べましょうよ。僕を国会の場に送ってください」と、東日本に広がっている可能性のある放射能汚染のホットスポットを詳細に調査することを公約に挙げた。
<脱原発の声を上げる>
脱原発を訴える候補者が〝強敵〟を破れば、強烈なメッセージになって全国に広がる。「僕が杉並(東京8区)で勝てば、国民が『脱原発』を求めているということが守旧派の政治家たちにもわかるでしょう。政治家は風を読みますから、風を読んで、国民の方を向かなければと思うでしょう」と、熱く訴えた。
無所属で立候補した山本氏を支援するのはボランティアのスタッフたちだ。東京だけでなく、全国各地から集り、証紙貼りやビラ配りなどを行なっている。ある男性スタッフは、「脱原発の活動を熱心にされているのを見て、応援したいと思った。朝はスタッフの人数が少ないが、夜、仕事が終わってから、みんな集まっている。大きな政党に入っているわけではないのでお金も足りないのが現状。みんなの力を集めて頑張りたい」と、語った。
支援者たちが、ハガキなどで杉並区の有権者に応援のメッセージを広げるなど細かく、小さな力を結集して支持を訴える。政党の候補者同士の対決が多かったこれまでとは少し違った形の選挙戦が繰り広げられている。
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