上海の河川や湖南省の河川で、このところ豚の死骸が大量に見つかっている。中国国内の大きな河川に打ち上げられた豚の死因はほとんどが豚コレラという伝染病だという。それにもかかわらず、中国政府は、長江や黄河といった大型河川の水を飲料水にしている多くの国民の不安をよそに、河川の水の「安全宣言」を早々に発表した。そして、その舌の根も乾かぬうちに、今度は別の河川で、あひるの死骸が大量に発見されたという。
あひるの死骸が大量に発見されたのは、四川省を流れる南河と呼ばれる川で、少なくとも1,000羽以上が岸辺に打ち上げられているという。これに対しても、中国政府は飲用水の安全を謳っており、国民は政府に対し、不審な思いを抱いているそうだ。
これら動物の死骸が大量に発生する原因はいまだ明らかになっていない。一説によると、豚の死骸のほとんどは、養豚農家による不法な遺棄だとされている。中国で生産される食肉用の豚は、ほとんどが抗生物質漬けにされているという。ほとんどの豚は劣悪な環境で飼育されていて、抵抗力が弱く薬剤まみれにされて出荷されるという。そして、途中で死んでしまった豚を生産者が不法に遺棄しているのだという。
全世界における食用豚の生産量は、中国が圧倒的に多く、飼育頭数とともに世界の流通量の5割を占めている。その豚がこのような環境の下で生育され、世界中に流通されていると思うと、実に恐ろしいことだ。食の安心安全が叫ばれて久しいが、大気汚染同様、越境してくる「中国の負の産物」に日本国民はどう対応すればいいのか、中国政府は世界中を敵に回す前に、対策に乗り出してほしいものである。
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