<ほんとは怖い7つのアベノリスク>
7つのリスクとは、インフレ、消費税大増税不況、TPP、原発、シロアリ、憲法、戦争、である。新約聖書末尾に収められている「ヨハネの黙示録」になぞらえるとこうなる。
第一のラッパが吹き鳴らされると、日銀の資産を大幅に劣化させてまで誘導される激しいインフレが、政府と企業だけを救い、国民は大いに苦しめられた。
第二のラッパが吹き鳴らされると、大増税が始まり、アベノミクスへの期待効果によって生まれたわずかな株高などは簡単に吹き飛ばされた。
第三のラッパが吹き鳴らされると、TPP加盟によって美しい国土は荒れ地と化し、米国市場原理主義の猛威が日本社会を荒廃させた。
第四のラッパが吹き鳴らされると、活断層の上の原発がいつのまにか続々と再稼働し始め、人々は原発事故の悪夢に怯える日々を過ごした。
第五のラッパが吹き鳴らされると、血税を食い荒らすシロアリ官僚がますます増殖し、再び増額された巨大公共事業・役人利権予算に群がった。
第六のラッパが吹き鳴らされると、権 力の横暴を防ぎ止める役割を担っていたはずの憲法が、国家権力によって次々と都合よく改悪され、国民主権や基本的人権がないがしろにされた。
第七のラッパが吹き鳴らされると、憲法改悪によって戦争への道が切り開かれ、集団的自衛権の名のもとに日本が報復攻撃の対象とされ、・・・。
「ほんとは怖いアベノリスク」をすべての国民が理解しておく必要がある。昨年から本年5月にかけて、安倍政権が絶賛された理由はただ1つ。株価が上昇したことだ。野田前首相と安倍晋三氏による党首討論で、野田氏から解散宣言が飛び出したのが昨年の11月14日。この日の日経平均株価は8,664円だった。この株価が本年5月22日に15,627円に上昇した。半年で6,963円の株価上昇だ。株価が上がると経済は明るくなる。これをメディアが絶賛したのである。
前回記事にも記述したように、株価が上昇した理由は、株価が安すぎたことと、円安が進行したことだ。菅政権と野田政権は財務省路線に乗り、ひたすら増税実現を追求した。経済心理は凍りつき、株価は理論値以下の水準に引き寄せられていた。安倍政権は増税に先行する大型補正予算を編成し、経済心理の改善を誘導した。これが株価上昇力を高めたのである。
他方、日本の株価は円ドルレートとの連動関係を強めていた。円高が株価下落、円安が株価上昇を生み出す図式が成立していた。安倍氏のブレーンがここに目をつけたのかもしれない。安倍氏は徹底して金融緩和政策の強化を訴えた。金融市場は安倍政権下での金融緩和政策強化を「期待」して、長期金利を大幅に低下させた。この金利低下に連動して急激な円安が生まれ、これが急激な株高をもたらした。
安倍氏が言う「第一の矢」の金融緩和と「第二の矢」の積極財政が相まって、円安・株高の市場反応が生まれた。この限りにおいて「アベノミクス」は効果を発揮したと言ってよいだろう。
しかし、この順風は持続していない。三本の矢は飛行する方向を真逆に変え始めてしまった。「アベノミクス」が「アベコベノミクス」に姿を変えた。
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