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アベノミクスの破綻(3)~政治経済学者・植草一秀氏
政治
2013年7月 3日 07:00

<「アベノミクス」が「アベコベノミクス」に変質>
 新体制の日銀が、初めて金融緩和政策強化を決定したのが4月4日。金融市場では、この日を境に、長期金利低下が長期金利上昇に切り替わった。この影響を受けて、5月23日以降、為替レートが円高に回帰し、株価が急落した。日経平均株価は6月13日に12,445円にまで下落した。昨年11月から半年かけて実現した株価上昇の45.7%が、わずか20日間で消滅した。

b_26.jpg アベノミクスの第一の矢は、金融緩和=金利低下=円安=株高=景気浮上・インフレ率上昇のシナリオを描くが、実際に4月4日以降に発生したのは、金融緩和=金利上昇=円高=株安の連動であった。第一の矢の飛ぶ向きが正反対に変わってしまったのだ。
 第二の矢は財政出動だが、補正予算を成立させた後、軸足が大移動を始めた。財政出動が大増税出動に切り替えられようとしている。安倍政権は今秋にも、消費税大増税を最終確定する姿勢を示している。これが確定すれば、第二の矢の飛ぶ向きも180度転換することになる。
 第三の矢は成長政策だが、安倍晋三氏が満を持して講演で成長政策を発表した6月5日の講演終了直後から6月7日にかけて、日経平均株価は1,200円も暴落してしまった。安倍首相が掲げる成長政策とは、農業の自由化、医療の自由化、解雇の自由化、経済特区の創設、法人税減税などであり、資本を優遇する施策ではあるが、生活者=消費者=主権者にメリットを与えるものではない。第三の矢も生活者を直撃する方向に飛んでゆくことになるのだろう。

 つまり、4月4日以降、アベノミクスは"アベコベノミクス"に姿を変え、三本の矢は生活者を射抜いてしまう方向に飛ぶ向きを変えてしまったように見える。
 6月27日以降、米国経済堅調、米国長期金利上昇の影響で、為替が再びドル高方向に回帰し、不安定化した中国市場が落ち着きを取り戻したことから、日本の株価も反転の兆しを示しているが、アベノミクスの内容が変質を来している状況には変化が見られない。株価は反転の兆しを示しているが、これはアベノミクス効果ではなく、米金利上昇=ドル高によるもので、その先に浮上する米国金融緩和政策縮小の影響を考慮すると、手放しの楽観が許されぬものである。

(つづく)

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