<憲法・原発・TPP・シロアリ・戦争のリスク>
無理なインフレ追求政策は、さらなる長期金利上昇を発生させて、経済改善を妨げる効果を発揮してしまうだろう。巨大増税決定による財政政策逆噴射は、日本を不況に回帰させる原因になってしまうだろう。安倍政権の今後の経済政策運営が、日本経済の命運を分かつと言っても、言い過ぎではないと思われる。
さらに重要なことは、安倍政権の持つリスクが経済政策上のものだけではないことだ。国の根幹に関わる憲法、国民の命の問題に直結する原発、国家主権の喪失をもたらしかねないTPPという3つの問題がとりわけ重大だ。
安倍政権は憲法を変えやすくするために、憲法改正発議要件を定めた憲法96条の改正を提案している。安倍首相の提案では、衆参両院の過半数の賛成で憲法改正が発議され、その後の国民投票での投票総数の過半数の賛成によって憲法改変が実現することになる。衆議院で295議席を有する自民党だが、比例代表選挙での全有権者に対する得票率は16%に過ぎなかった。国会議席数と民意との間には巨大なかい離がある。国民投票も、投票総数の過半数の賛成で良いということになると、投票率が5割なら全有権者の4分の1以上の賛成で憲法が変わってしまうことになる。
自民党憲法改正草案には、人権抑圧、国権突出、戦争体制構築という、恐るべき内容がふんだんに盛り込まれている。憲法の安易な改変を絶対に許してはならないが、参院選の結果によっては、恐るべき事態が発生することになる。
地震国日本での原発稼働がいかに危険であるかをすべての日本国民に知らしめたのが3.11原発事故である。この教訓をないがしろにする政策方針を許してよいのか。
TPPは日本国民ではなく、外国資本に利益を供与する仕組みである。日本農業が外国資本に支配され、国民医療に経済格差が持ち込まれ、生活者に優しい共済制度が破壊される。この巨大リスクを現実化させることがほぼ確実なTPPに日本が参加することは、主権者国民に対する背信行為である。
野田佳彦氏が変節する前に叫んでいたシロアリ退治=官僚利権の根絶は、今や、議論そのものがかき消されている。このまま進めば、日本は外資のハゲタカ、官僚のシロアリ、強欲資本主義者のハイエナに食い荒らされてしまうことになる。
そして、日米同盟の名の下で、日本が戦争を遂行する体制を整えれば、日本は米国が主導する侵略戦争に自動的に加担させられてしまうことになる。また、日米軍事同盟への固執が日本を戦場とする戦争勃発という代償をもたらす可能性もあるだろう。
憲法改悪・原発再稼働・TPP参加・消費税増税・インフレ誘導・官僚利権擁護・戦争遂行に反対する政治勢力の拡大を実現させなければ、日本は本当に危うい。
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