<地熱水で大幅節電に成功>
スウェーデンのストックホルム。約1万5,000人が働き、年間1,800万人が利用するアーランダ空港で、ユニークな省エネ方法が成功している。地下にある帯水層の地熱水を活用した節電方法に着目。外気よりも"冬は温度が高く、夏は温度が低い地下"を空港内の冷暖房にうまく生かし、電気代の大幅削減を実現した。スウェーデンの企業で、熱交換器の世界的企業アルファ・ラバル社の熱交換器の技術を使い、熱損失を最小限に抑え、帯水層(地底湖)を空港の冷暖房システム用の巨大貯水池として活用。夏に温水を生成し、地底湖に温水を蓄えておき、これを冬に使うまで蓄熱。冬に雪を融かしたり、建物を温めたりするのに使う。夏はその逆で、冬に蓄えておいた冷水を利用し、建物を冷やすのに使う。いわば、地底湖を巨大な魔法瓶として使い、主に暖房や融雪に必要なエネルギーを削減する。
09年からこの地熱水を利用したシステムを導入。掘削、パイプラインの工事、熱交換器の設置に約500万ユーロ(約6億7,000万円)を要したが、1年間に約100万ユーロ分の省エネに成功している。約5年間で、その工事費用、維持費用を償却できるという。
<熱交換器利用で蓄熱・蓄冷>
北欧のスウェーデンでは冬が長いので、暖房でより高い効果を発揮している。空港の近くに蓄熱・蓄冷に適した帯水層(地底湖)があったという自然条件と、アルファ・ラバル社の技術力、需要と供給がマッチしたからこそ実現できたこと。さらには、環境先進国であるスウェーデンの「その地域にある自然の条件を最大限に生かして、エネルギー効率化を図る」という発想方法にもその成功要因がある。このユニークな省エネ方法を日本でもすぐに導入できるかと言えばそうではないが、地下熱、地中熱を有効利用しようという発想法は参考にできる。
横浜市で25日まで開催されたスマートシティウィーク2013で講演したアルファ・ラバル社のマッツ・カーセリード市場開発部長は、「アーランダ空港に導入した帯水層を利用した節電法の効果は非常に大きい。蓄電は難しいが、水の貯蓄はやりやすい。日本にも可能性はあるのではないでしょうか」と、日本でも、地熱や地下水を利用してのエネルギー効率化の可能性が十分あることを示唆した。
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