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斎藤貴男氏「政府と電力会社は国民をなめきっている」~玄海原発訴訟で意見陳述
脱原発・新エネルギー
2013年12月20日 19:49

玄海原発訴訟口頭弁論後、報告する(左から)斎藤貴男、菅波佳子両氏=12月20日、佐賀市 ジャーナリストの斎藤貴男氏(55)が12月20日、佐賀地裁で意見陳述し、「政府の原発政策や電力会社の運用が徹頭徹尾デタラメであり続け、とてもではないが信頼に耐えられるものではない。一言で言えば国民を舐めきっている」と、政府と電力会社を批判した。
 47都道府県7,137人の市民が国と九州電力を相手取って玄海原子力発電所の操業停止を求めた「原発なくそう!九州玄海訴訟」の口頭弁論で、原告として陳述したもの。
 同日の口頭弁論では、斎藤氏のほか、福島第1原発から約4キロの福島県大熊町で開業・居住していた司法書士の菅波佳子氏(43)が意見陳述した。九州電力側は、原発の通常運転中の被害の1つである温排水についてのみ反論する準備書面を陳述し、「残りの反論は、次回以降に検討中」と表明。原告側は、新規制基準の問題点を主張し、「新規制基準は安全を担保できない」と指摘した。次回は、2014年3月28日。

 斎藤氏は、「国民をなめきっている」実例として、外務省が、国内の平均的な原発がミサイル攻撃を受け、緊急避難を行なわなかった場合、最大で1万8,000人が急死するなどの試算を1984年にまとめたにもかかわらず、公表されないまま一切のテロ対策も講じられなかったことを挙げた。
 「過ぎ去った歴史は変えようがないが、福島第1原発事故を経験してしまった私たちには、せめて未来だけでも改めていく責任がある」と指摘。「3・11以降、ポスト原子力時代のエネルギーをどうするかの機運が高まったが、じきに終わってしまった」と述べ、「一握りの巨大資本の経済的利益だけが絶対無二の価値であり、正義であり、バラ色の未来を約束してくれる福音なのだとする発想にこの国の社会はまたしても覆い尽くされて、やがて原発事故のごときは"起こらなかったこと"として黙殺し、抵抗する者をせせら笑う態度こそが、まるで理想的なリーダーシップでもあるかのように喧伝されていく」と警告した。
 「官民一体、オールジャパン体制による原発輸出も、その表れの1つ」と述べた斎藤氏。「国策たる原発輸出のバックヤード、あるいはショールームとしての日本列島、という構造が築かれようとしている。原発立国が目指されていると言って過言でない。日本政府と電力産業の、人間を舐めきったやり方を、私はどうしても許せない」と力を込め、「私たちの祖国をこれ以上、支配と被支配の関係ばかりに貫かれた封建社会であり続けさせないために、玄海原発の差し止めを是としてください」と訴えた。

 菅波氏は、2011年3月11日夜10時前に原発から3キロ圏内の避難指示、10キロ圏内の屋内待避指示が出た当日以降の避難の状況や、県内外へ避難した県民の被害の実情を訴えた。
 菅波氏は「『原発事故さえなければ』。私たち住民は、この言葉を何十回、何百回、口にし、涙したかわからない。もう二度と同じような苦しみを誰にも経験させたくないという思いから、この裁判に原告として参加した」と述べ、「原発事故を受けても、国は原発ゼロへ政策を転換しない。私は、裁判所だけは、原発の存在が地域住民の命に係わる問題と捉え、正しく判断してくれると信じている」と訴えた。
 福島第1原発の立地している双葉郡8町村の直接死者数208人に対し、原発事故関連死者数は921人(2013年12月15日現在)だと紹介し、「東日本大震災の難を逃れ、助かったはずの大事な命を次々に奪っていく原発事故が憎くてなりません。関連死であるかを問わず、多くの高齢者は、故郷に帰りたい願いも叶わぬまま、人生の最期を避難先で迎えている。その無念を国や東京電力が知ることなどできない」と批判した。「九州電力に聞きたい。福島事故と同じような事故が起きた時、今の東電と同じ対応をする覚悟があるのか」と問いかけた。
 菅波氏は、司法書士として受任している依頼者らと話をするたびに、原発事故の被害の大きさを知ることになったと振り返った菅波氏。家族全員が職を失い避難所で生活、避難後に家族が命を落とした、子どもたちが母親と学校の移転先で生活し、父親は会社の移転先へ、祖父母は役場機能の移転先の避難所へと家族が離散・・・。そんな話が「山ほどあった」と語った。
 長年勤めた会社をリストラされ、住宅ローンや借金を抱えた64歳の男性が個人民事再生手続きで自宅を守り他の債務を圧縮することにし、申し立てた後、原発事故が起きた。個人民事再生手続きは、安定した収入がなければ認められないため、原発事故で再び職を失い、取下げを余儀なくされたと紹介して、被害者の無念をこう告発した。「避難先から一時帰宅する途中に脳梗塞を起こし、そのまま帰らぬ人になった。『原発事故が憎くて悔しくて、一人で泣いていた』というのが、私が依頼人から聞いた最後の言葉だった」

【山本 弘之】


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