2010年4月に六本木の東京ミッドタウンに東京1号店「茅乃舎(かやのや)」を出店後、着実に知名度を上げる久原本家グループ。同社の持つ商品群はレベルが高く、椒房庵(しょぼうあん)の明太子は明太子の発祥の地・福岡においても常に人気で、雑誌、HPの人気ランキングでトップを飾ることもある。同社の人気調味料である茅乃舎のだしも好調で、これらを扱うアンテナショップも着実に増加している。
<二子玉川店は昨年10月末改装>
久原本家グループは、12年3月に出店した玉川高島屋S・C店(東京都・二子玉川)を1年半後の13年10月31日に売場を移動し、販売スペースを拡大するかたちでリニューアルオープンした。
これは東京ミッドタウン店でも言えることだが、店舗デザインが洗練されている。客層は自然食を好む年配層から、子連れのファミリー層、そして女性客が多いという印象を受ける。
店内には主力商品である「茅乃舎だし」をはじめ、「茅乃舎鍋」コーナーのほか、醤油、調味料、ドレッシングなどが充実していた。また、各店においてだしの試飲コーナーもあるほか、レシピのアイディアを知ることができる場ともなっている。店内にはレギュラーサイズの商品に加え、小分けしたお試しサイズもそろえてある。いろいろな味を楽しみたいという人にもうってつけで、顧客ニーズに合わせた商品の売り方をしている企業努力の賜物であるとも言える。
福岡の店舗でも言えることだが、同店も多くの利用客らで賑わっており、全国的に同社のだしの味が受け入れられているといっても過言ではない。
<絶妙なキャッチコピー、商品づくりも魅せ方も本物>
同社は現在、東京の2店舗のほかに、関東地方では横浜ベイクォーターにも出店し、関東地方に3店舗展開しているが、さらに今年は東京・日本橋に今までとは違った店づくりとなる「茅乃舎」を出店する計画がある。
以前の取材で河邉社長は、「日本橋店は世界を目指すための情報発信基地にしていきたい」と話しており、今後は首都東京のJR東京駅にほど近い日本橋を中心に店舗数が拡大すると思われる。12年6月期にグループで約129億円の売上高を計上した福岡の老舗調味料メーカーが、今後、東京を拠点にますます事業規模を拡大していく可能性を秘めている。
また、同社は商品PRにも長けており、同社の通販部門のホームページでの「口コミで全国に広がった『家庭用本格だし』味は料理店並み。手間はインスタント並み」という絶妙なキャッチコピーもさることながら、商品の魅せ方もうまい。
福岡で人気のホームページ「福岡ブランド.COM」の「福岡ブランドドットコム大賞2012」では、創業以来、地域に根差し、また手間と時間をかけた本物の商品づくりへの情熱がPR動画やコミュニティ掲示板等で如何なく発揮されたことでグループ企業の(株)椒房庵(現・(株)久原本家)が大賞を受賞した。
商品づくりも本物だが、商品の魅せ方も本物。福岡発の"本物"を取り扱う企業が今後、巨大市場でさらに躍進し、いずれは世界にまで発展することが期待される。
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<COMPANY INFORMATION>
(株)久原本家グループ本社
代 表:河邉 哲司
所在地:福岡県糟屋郡久山町大字猪野1442
創 業:1893年7月
売上高:(12/6連結)約129億円
URL:http://www.kubarahonke.com
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