<壱岐の自慢 1000の宝探し>
今回から筆者も関わる壱岐の地域おこしのご紹介です。
壱岐市は、旧郷ノ浦町・勝本町・芦辺町・石田町が新設合併して2004年に誕生しました。
この地域もご多分にもれず、人口減少に悩んでいます。国勢調査からその推移を見ますと、1955年の5万1,765人から2010年は2万9,377人と43.2%減少しています。
また、主要産業である漁業生産額は2000年の89.9億円から09年には56.6億円と37.0%落ち込んでいます。漁業に次ぐ産業である農業についても同様に産出額(主要作物別)が落ち込んでおり、04年の63.2億円から10年は48.5億円(23.3%マイナス)となっています。
このような状況下、壱岐市では以前から観光に力を入れてきました。九州における大消費地である福岡市から、最近ではジェットフォイルで約1時間という至近距離に位置するという特性を活かし、古くから福岡都市圏との交流が盛んに行なわれてきました。
ここで長崎県観光動向調査(2010年)から壱岐の主要宿泊施設における宿泊客の発地別割合を見ると、一番多いのが福岡県の32.4%であり、3分の1を占めています。これに続くのが、長崎県の15.0%(福岡、長崎県以外の九州は15.3%)ですが、関東からの割合も結構高く11.8%を占めています。関西からは9.4%となっています。
しかし、島外からの観光客は壱岐の海を求めて来島するため、夏場に集中し、この時期に観光関連産業がいわば(厳しい言い方ですが)「荒稼ぎ」をするという傾向(一部屋に何人も詰め込む、粗悪な食事を提供する、顧客対応が荒くなる等)が続き、観光客の壱岐離れも進んできています。
ここで壱岐への観光客数を見てみましょう(壱岐市観光統計より)。通常、観光客数は、観光入込客数といって各種の交通手段による入込数を合計して算出するため、その実数がつかみにくく観光入込客数は、ともするといい加減という見方がされます。
しかし、沖縄に代表される「島」の入込数は比較的正確であると言われています。ただ、これにしても壱岐市民の出入りもカウントされるので観光入込客数の実数を把握するのはなかなか大変です。
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(株)地域マーケティング研究所
代表取締役:吉田 潔
和歌山大学産学連携・研究支援センター客員教授、観光学部特別研究員、西日本工業大学客員教授
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