これらの中国人に国防動員法が発令された場合には、その瞬間から人民解放軍の兵士として日本国内で一斉に蜂起することが予想される。中国の政治体制から考えれば当然起こりうる行動である。2008年の北京五輪の際に、長野市で行なわれた聖火リレーの沿道に集まった中国人の集団行動(暴動)を思い起こせば、その恐ろしさがわかるはずである。
さらに11年7月1日からは、沖縄を訪れる中国人個人観光客に対して、マルチビザ(有効期限内であれば、何度でも出入りできる査証)が発給されるようになった。日本政府が観光を目的で入国する外国人に対してマルチビザを発給するのは中国が初である。ビザの有効期限は3年間で、ビザ保有者はこの間に何度でも日本を訪問することができる。1回の訪問につき最長90日まで日本に滞在可能で、中国人訪日客の個人観光ビザによる最大日数は、これまでの15日から大幅に伸びることになった。
マルチビザ発給は、第1回目は沖縄から入国することが条件となっているが、2回目以降は、日本のどこからでも入国することが可能となっている。また、観光に限らず、親族・友人訪問や遊学などさまざまな活動も、日本訪問の目的として認められることになった。
日本政府は16年には中国(香港を含む)から675万人の中国人観光客を見込んでいる。中国の国防動員法をふまえて、中国人観光客を当てにした経済効果を期待する前に、中国人観光客が大挙して人民解放軍の兵士として蜂起(暴動)した場合の恐ろしさを考え、ビザ発給の要件の緩和や、マルチビザ発給に関し、再度見直しをする必要があるのではあるまいか。
(了)
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<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。現在は、日本防災士機構認証研修機関の(株)防災士研修センター常務取締役。著書に、『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)、「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版)。11月25日には、夕刊フジに連載中の企画をまとめた『探訪 日本の名城 上-戦国武将と出会う旅』(青林堂)を発売。公式HPはコチラ。
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